星、ビブグルマン、セレクテッドレストランが発表される年に一度のミシュランガイドセレモニーに先駆け、ミシュランガイド京都・大阪へ新しく追加された18軒のレストランをご紹介します。
2024年12月
日本料理に新しい息吹をもたらす「
中満」。「
馳走 あい田」は京の名物に安心感を覚える。古都の歳事を献立に織り込む「
即今 藤本」。「
竹久」は敷葉をあしらい四季の移ろいを伝える。「
とくを」は割烹文化の未来を次世代につなぐ。「
茶寮哲心」は金箔画を眺めながら蕎麦を手繰るのが風流。「
宮川町 天匠」は天ぷらが名物の旅館で腕を磨いた。寿司割烹の「
木屋町 蘭」は昭和の風情が漂う。「
ズッケロ」は鮮魚の仲卸が営む魚介イタリアン。中之島の「
ルーツ ナカノシマ」は広島のフランス料理店がルーツ。「
atelier HANADA by 森本」は華やかに魅せる中華のアトリエ。「
京町堀 なかむら」はとんかつをコースで味わう。人と人との縁を大事にする「
鮨 ゑにし」。赤と白の酢飯を使い分ける「
鮓処 しん」。「
西天満 市がや」は浪速割烹の一門が腕を振るう。「
北新地 魚菜 まさ志」は一品料理が揃う割烹店。日本料理「
すぎまち」は素材の組み合わせに心を配る。カウンター割烹「
輝」は炭火の技がきらりと輝く。
京都
昔ながらの調理を好み創作は控える。「継続は力なり」が座右の銘。ひたむきに料理と向き合う姿がある。
© Chiso Aida
食材、料理、食べ手と真摯に向き合う。だしは時間と共に味わいが変化すると、まろやかな旨みを引き出す。
© Nakamitsu
茶道、華道、書道に勤しむのは美意識と感性を磨くため。古都の歳事を献立に織り込み伝統文化を伝える。
© Sokkon Fujimoto
醍醐蕎麦が名物。チーズの起源とされる醍醐になぞらえ、蕎麦にパルミジャーノレッジャーノをおろす。
© Saryo Tesshin
昭和の設えに懐かしさを覚える。漬物の握りは、京都の文化が息づく当地ならでは。
© Kiyamachi Ran
日替わりメニューに旬の魚介がずらりと並ぶ。カルパッチョ、フリット、トマト煮込みなど、どれもシンプル。
© Zucchero
天ぷらと日本料理のどちらも味わえるおまかせ。料理旅館での経験から造りや椀物に始まり、天ぷらへと移る。
© Miyagawacho Tensho
青梅の蜜煮、にしん茄子の煮物は昔ながらの手仕事。山で拾い集めた葉を料理にあしらい、四季を伝える。
© Michelin
割烹文化を次世代につなぐ。修業先から受け継ぐ鴨まんじゅうは、育ててくれた恩に報いながら仕上げる。
© Michelin
大阪
様々な食材を中華の技で創作。フォワグラの紹興酒漬けにいぶりがっこ。フレンチを交えたデザートも新感覚。
© atelier HANADA by Morimoto
大阪の伝統を踏まえながら新しさを取り入れる。時にはフレンチの技法も取り入れ、創意工夫を忘れない。
© Nishitemma Ichigaya
炭火の魅力を伝えるおまかせ。造りは炙り、揚げ物は衣を焼いて燻香をまとわす。柔軟な発想力で個性を磨く。
© Kirari
昆布と鰹のだしを引き、野菜を扱うのは日本料理の経験から。すし種の温度や柑橘の酸味で抑揚をつける。
© Sushi Enishi
イタリア料理を基本としつつも本店がフレンチゆえ両国のレシピが重なる。じゃが芋のニョッキは代表作。
© Rooots Nakanoshima
素直な和食から創作した洋風まで幅が広い。焼セロリのぬた和え、一口牛ヒレカツ、蟹クリームコロッケが人気。
© Kitashinchi Gyosai Masashi
昆布や鮪節のだしを基本に、鍋物はトマト、炊き込み飯は鶏だしを加える。味わいは旨みの方程式のようだ。
© Sugimachi
赤と白の酢飯を使い分ける。つまみと握りを織り交ぜて抑揚をつける献立は期待感と楽しさが潜む。
© Sushidokoro SHIN
ヒレ、肩、モモ、様々な部位が一切れずつ供される。ロースは数種の銘柄豚を用意し、肉質の違いを食べ比べ。
© Michelin
2024年11月
京都
「しろ」は無垢や純粋さを表す色。白い空間が清々しく、余白を残す盛り付けに思いを宿す。
© shiro
日本料理とイタリア料理の共演。椀物は基本に忠実、パスタは伊太利だ。和洋の献立に酒とワインのおもてなし。
© Kyoen
少年時代から野球一筋の主人。献立の幅を広げるためすしを握り、蕎麦を打つ。女将手製の甘味にもほっこり。
© Nishijin Hashimoto
日光から届く鱒は押し寿司、おくどさんで炊くご飯は栃木米。献立には出身地である栃木県の食材も多い。
© Michelin
布紗は麻の織物を意味。清浄を象徴とし、神聖な供物から発展した日本料理と共通することから屋号とした。
© Michelin
食べ手を楽しませるため一品料理が豊富に揃う。焼く、煮る、揚げるなど好みの調理に応えてくれる。
© Michelin
旬の味覚を少しずつ楽しめる献立。食事の始まりはだしを引く演出。一番だしのおいしさを味見させてくれる。
© Takoyakushi Furukawa
ご飯好きの主人が開いた「米処」。料理は小皿で供され色々と楽しめる。おかずの盛り合わせに箸が進む。
© Michelin
できたての料理と笑顔の会話で気持ちを届ける割烹店。昼は御膳でもてなし、夜はおまかせに腕を振るう。
© Michelin
大阪
フォワグラのカタラーナとスパゲッティポモドーロは定番としながらも、それ以外は常に新しい料理を創作。
© QUINTOCANTO
料理と向き合える幸せ、座するお客への気持ち。精一杯の料理ともてなしから感謝の念が伝わってくる。
© KAMINOZA
ボルドーのワイン醸造家が営むスペイン料理店。シェフは日本ならではの魚介を使い料理に特色を持たせる。
© Ueroku wine
主人が天草出身であることから熊本の食材も多い。生搾りの胡麻と綿実のブレンド油で揚げる天ぷらは軽やか。
© Tenboshi
食材は全国から集まるほか、仔羊など海外から届いたものも。すなわち “天下の台処”で神谷が振舞う。
© Michelin
コースは茶碗蒸しとミニバーガーが馴染みの品。牛丼は深夜食堂として間借り営業をしていた頃からの名物。
© Michelin
テーマは記憶に残る料理。一品の食材を三つまでに留め、盛り付けを削ぐ。量を惜しまないのも同じ理由から。
© Michelin
おまかせの定番は牡丹海老の造り。茗荷の海苔巻は、つまみからすしへと移る合図。握りは正統派を心掛ける。
© Michelin
料理長は日本酒が進むよう塩味に気を配る。締めは季節の炊き込みご飯とカレー。お代わり自由なのも嬉しい。
© Michelin
2024年9月
京都
フランス修業時代、世界中の料理人と交流を深めた。イカのカルボナーラはパリのシェフと共作した思い出。
© Yamaji Yosuke
季節の天ぷらと造りが供され、好みの天種を追加する流れ。天丼と天茶を少しずつという要望にも応える。
© Gion Senryu
ピエモンテ州で学んだことから北部の手法が得意。タヤリンやタリオリーニの手打ちパスタに経験を表す。
© Germoglio
こぢんまりとした空間だけに主人との距離が近い。調理から接客まで一人で実直に向き合っている。
© Takezaki
茹でたてを熱いまま盛る「あつもりそば」が名物。殻ごと挽いた蕎麦は褐色を帯び玄妙な味わい。
© Michelin
料理と客の間を取り持つ料理人でありたいと願う。品書きの初めは果物の白和えと決めている。
© Michelin
大阪
“人の琴線に触れるレストラン”を掲げ、心を揺さぶる料理を目指す。食材の長所を引き出すことが最優先。
© PRESTAU
メニューには古代の元素記号。野菜は土、スープは水、一品ごとに四元素と結びつけて料理を発想する。
© genso
心掛けるのは食べ疲れない料理。椀物のだしに使う昆布は利尻を選び、淡い味わいでほっとさせる。
© Katamachi Kawaguchi
店名を象徴するかのように、かまどの炊きたてご飯からコースが始まる。原始の火入れで現代の味を生む。
© Kamado
衣の量や濃度、油の温度を操り、魚介と野菜を交互に揚げる。素材の持つ甘みや苦みで抑揚をつける天ぷら。
© Numata Sou
海鮮料理屋の経験から魚の扱いを熟知する主人。新鮮さと熟成した魚を使い分け、味の奥深さを伝える。
© Michelin
2024年8月
東京
おまかせの主軸は野菜とジビエ。どの品も食材を引き立てるシンプルな盛り付け。若いチームの接客は爽やか。
© Nebuka
小林圭が次なるステージとするのは伝統と新しさが共存する銀座。フランス料理を革新させるエスプリが息づく。
© ESPRIT C. KEI GINZA
カウンターで味わうすき焼。メレンゲのような卵で食べるのが独特。工夫を凝らし目も舌も楽しませてくれる。
© SUKIYAKI ASAI
ヴェネツィアの郷土料理として知られる塩ダラのペーストから始める。朝採れ野菜、肉料理も繊細で軽やか。
© misola
無垢は潔白や純真を表す言葉。白を基調とした空間、食材の持ち味を生かした料理に思いが宿る。
© Higashiyama Muku
店主は起承転結を意識し、最初の数品を組み立てる。客は品書きから好みの料理を注文し、自らの献立を作る。
© Shirokane Shin
流行に左右されないフランス料理。基本に立ち返り、奇をてらわずシンプルに仕立て、料理の印象を深める。
© joujouka
煮えばなと椀物は古典を忘れない心。自由さと新しさを求め造りはない。献立に新旧を交えながら個性を表す。
© Michelin
たそがれ時に扉を開く。積み重ねた技術と遊び心で惹きつける黒板メニュー。自由な料理を自由に楽しみたい。
© Michelin
開業にあたり思い描いたのは昔ながらのすし屋。大きな看板、木札の品書きに懐かしさを込めた。
© Michelin
2024年7月
東京
啓蟄とは二十四節気、七十二候の一つ。生物が目覚める春の暦を示す。自然界の芽吹きに自らの意欲を重ねる。
© Keichitsu
「白」は料理への純粋な気持ち、「寧」は丁寧な仕事を表す。何層にも重ねたミルクレープにその想いを宿す。
© hakunei
前菜はクリエイティブで遊び心が満載。和牛は炭火かまどでグリル。アラカルトにしたのは初の試み。
© KEI Collection PARIS
フルーツやハーブ、スパイスを効果的に使い軽やかに。魚と肉料理にソースは欠かさず、古典への敬意を示す。
© Quatre Vingt Douze
鯉のスープ仕立てから始まる。白いバラに見立てた前菜は修業先のスペシャリテからヒントを得た。
© UNE IMMERSION
流線形の長細い握り、仕事への姿勢は親方譲り。それ以上に感じるのは握りに込める個性と人柄。
© Michelin
地鶏を寝かせ旨みを凝縮させる。鶏スープは澄んだコンソメのよう。締めはシンプルな鶏そば。
© Michelin
おまかせは握りすし二貫、揚げ物は天ぷらとフライの異なる食感、焼餃子には中華の経験が生きる。
© Michelin
2024年6月
東京
オランダ料理界を牽引してきたシェフが監修。コンテンポラリーな欧州料理を発信する。
© LE PRISTINE TOKYO
テーマは凝縮と旨味。日本の食をヒントにクリエイティビティを高める。工芸品を使い日本の伝統文化も発信。
© hortensia
フランス東部、ジュラ地方の魅力を届ける。鶏とモリーユ茸のヴァンジョーヌソースは誇りある郷土料理。
© Ma Poule
修業で学んだのは食材への敬意。日本料理の伝統を守りつつ創意を凝らす。温故知新を掲げ新味に挑む。
© Ryuen
学んだのは基本なくして応用なし。前菜の盛り合わせは中華の技法で彩り、食べる喜びを与えてくれる。
© Chugokusai KAKYU-BOU
ダマスク柄の壁やアンティークの調度品を飾る趣は、古き良きビストロ。料理は一品をシェアするアラカルト。
© ABBESSES
おまかせは日本料理に加え、すし、蕎麦といろいろ味わえる。すし屋仕込みの玉子焼を甘味とするのも面白い。
© Michelin
天ぷらに求めるのは軽やかさ。衣は薄くまとわせ、紅花油で揚げる。魚介と野菜を交互に供し変化を出す。
© Tempura Taku
先ずはお決まり四品が供され好みの単品を追加する。おでん、焼餃子、いか焼そばのほかカレーやラーメンも。
© Michelin
心馬は店主の名前の一文字、馬と真心から。修業時代から作り続ける親子丼、丹念な仕事がうかがえる。
© Michelin
2024年5月
東京
「レラン」の姉妹店。コンセプトはクラシックを気軽に。現代のフィルターを通して伝統料理の魅力を伝える。
© bonélan
ソーセと名付けた料理は、パンにソースだけの一皿。修業時代にソーシエを任された自信を今に生かす。
© Saucer
会席に沿った鶏づくしの献立。鶏や鴨の焼物は、串に打たずに炭火で網焼きに。近火の強い火力で表面を焼く。
© Toriyaki Ohana
日本の季節を感じられる中国料理を掲げる。日本の熟成酒と自然派ワインを合わせるのも新たな試み。
© Chugokusai HINA
心暖まる店、客との団らん、ステップアップの段を店名に込める。カウンターキッチンから一体感を生み出す。
© DAN
渡仏時代にフランス料理は自由であると知った。古典の論理と技法を踏まえつつ和食や中華の要素を重ねる。
© Alternative
北イタリアで学んだシェフによるカウンターイタリアン。その経験からバターを使う地域性にも影響を受けた。
© RISTORANTE la primula
和食を気軽に味わってほしいと、おまかせ、一品、好みに応じる。料理、人、酒、空間が心地よく繋がる。
© wokotote
少年時代に父と行った立ち食いすしが原点。気軽に通えるすし屋でありたいと好みの種を一貫から注文できる。
© Sushi Mikata
すしは江戸で栄えた屋台が始まり。その文化を体感してほしいと立ち食いすしとした。職人との会話も弾む。
© Michelin
2024年4月
東京
コースは根、葉、花、果のテーマから成る“循環型ガストロノミー”。自然の美しさとサイクルを表現する。
© CYCLE
「青きものたちのビストロ」を意味する店名。若い料理人とソムリエが生き生きとフランス料理に情熱を注ぐ。
© le bistrot des bleus
屋号の数字は番地とスタッフの生まれ月。鶏ささみの海苔巻などを挟みコースに抑揚を付ける。
© 124. KAGURAZAKA
好みの食材を選び、オリジナルのミックスフライが出来上がる。昼は定食。夜はコースで一種ずつ味わえる。
© Fry-ya
視覚や香り、味わいに加え、ダイニングに流れる音響が五感に響く。新たな試みで食の喜びを伝える。
© apothéose
音楽院の生徒と交流しクラシックに惹かれた。楽器をモチーフにした皿など音楽にちなむ演出が楽しい。
© Orchestra
自由な発想で創造するという思いを込めた「Jfree」。和食を学んだシェフが日仏を掛け合わせる。
© Jfree
イタリア料理の枠にとどまらない食体験を試みる。伝統を根底に置きながらも、和の食材で再構築する。
© DepTH brianza
握りに力を入れ、すし屋の本分を果たす。酢飯に赤酢と米酢を混ぜるのは、種類豊富な種に合わすため。
@ Michelin
魚は締める、煮るなど古来の仕事を追う。おまかせは品数が多く、種の質も惜しまない心意気にも満足。
© Michelin
Written by
MICHELIN Guide Japan