星、ビブグルマン、セレクテッドレストランが発表される年に一度のミシュランガイドセレモニーに先駆け、ミシュランガイド京都・大阪へ新しく追加された12軒のレストランをご紹介します。
2025年10月
調香師のような感性でフランス料理を探求する「コガ」。「麩屋町 久らく」は魚料理が充実する割烹居酒屋。「半々」の会席は肉と野菜が半々。「りょうりや〇」は農家との縁から朝採れ野菜を届けてくれる。「ワビヤ」は炭火と薪火を駆使する焼鳥店。「鮨 今尽」は鮨にかける想いで今を尽くす。「ブラッスリーレジーヌ」はセントレジスホテル大阪のカジュアルフレンチ。「ビストロ ヌフ」ではオーソドックスな料理をシェアして楽しむ。共感を意味する「エンパティ」はフランス料理を通じて季節を共感。レトロな蔵を改装した「イゾラータ」では現代のイタリア料理を楽しめる。「御料理 野々原」は日本文化や伝統行事を献立に織り込む。「江南春」は香港出身のシェフが広東料理に腕を振るう。
鮨 今尽/Sushi Imajin(寿司)
すしに関わるすべてを一人でまかない情熱を注ぐ。旬の魚で満足させたい気持ちが一貫ごとに感じる。
ワビヤ/wabiya(焼鳥)
キッチン中央の炭台と薪窯が目を引く。様々な部位を炭火で串焼する傍ら、かたまり肉を薪火でじっくり焼く。
半々/Hanhan(日本料理)
個性を打ち出せないかと肉料理がひらめいた。会席の魚料理を牛、豚、鶏などに置き換え工夫を凝らす。
りょうりや〇/Ryoriya EN(日本料理)
店先の大きな円相の暖簾が印象的。料理に人柄の良さと熱意、人との調和が円相のように表れる。
麩屋町 久らく/Fuyacho Kuraku(居酒屋)
郷里から届く福井県若狭湾の魚介が自慢。地酒も取り寄せ、越前や若狭の魅力を広める。
江南春/JIANG NAN CHUN(中国料理)
点心は昼に限り、飲茶の習慣に倣う。コースでしか味わえない季節料理も楽しみ。高層階ゆえ大阪の街並を一望できる。
エンパティ/Empathie(フランス料理)
心掛けるのは何を食べたか印象に残る料理。料理に秘めたメッセージを自ら伝えるためカウンターにした。
御料理 野々原/Oryori Nonohara(日本料理)
季節の食材に心を配り、日本文化や伝統行事を献立に織り込む。梅ヶ枝餅、八女茶を供し、故郷にも思いを馳せる。
ビストロ ヌフ/bistrot neuf(フランス料理)
定番はウフマヨネーズ、パテドカンパーニュ、牛頬肉の赤ワイン煮込み。イタリアンの経験からパスタも置く。
イゾラータ/isolata(イタリア料理)
イタリア各地で腕を磨いたことから郷土料理を大切にする。四季の気候に合わせた調理法でモダンにアレンジ。
ラ・メゾン・コンフォターブル/La Maison Confortable(フランス料理)
ピエール・ガニェールに長年師事。フランス料理界の巨匠から前衛派の感性を受け継ぎ、独創性を発揮する。
箱崎町すみと/Hakozakicho Sumito(寿司)
トロの海苔巻を振舞い、赤身、中トロ、大トロと握る。酢飯の温度を変え、抑揚をつけながら魚の持ち味を引き出す。
ズッペリア・オステリア・ピティリアーノ/ZUPPERIA OSTERIA PITIGLIANO(イタリア料理)
素朴な味と盛り付けに、イタリアの食文化を映す。一皿を取り分けて楽しむ光景はイタリアの日常と重なる。
寛心/Kanshin(日本料理)
最初に数品が供された後、品書きから好きなものを選ぶ。料亭仕込みの料理を自由に楽しみたい。
新まき/Aramaki(焼鳥)
焼鳥は部位に応じて地鶏と銘柄鶏を使い分け、前半は塩、後半はタレと徐々に味を濃くする。
ビリヤニ大澤/Biriyani Osawa(インド料理)
メニューはマトンかチキンを基本とするビリヤニ一種のみ。油を控え、食材の旨みとスパイスの風味を引き立てる。
みつい/Mitsui(寿司)
つけ場にかまどを設え、炭床と羽釜の手仕事を見せる。握りは白身、鮪、小肌、海老、うに、穴子が基本の流れ。
フィオッキ/Fiocchi(イタリア料理)
仔羊の藁包みは、ピエモンテ州ヴァルド派に伝わる料理。付け合わせのじゃが芋は灰の中で甘みを引き出す。
串揚げ料理 かわた/Kushiage Ryori Kawata(串揚げ)
さっぱりした植物性油に限り、油切れのよさを求め高温で揚げる。車海老、半熟うずら玉子、豚肩ロースも定番。
富士鮨/Fujisushi(寿司)
客の要望に柔軟に応え、つまみも揃い酒も楽しめる。海外からも慕われるように日本一の山を屋号とし裾野を広げる。
ラルキミア・アストラッタ/L'ALCHIMIA ASTRATTA(イタリア料理)
パスタの聖地と呼ばれるエミリア=ロマーニャでの経験を生かし、トルテッリやタリオリーニにその腕前を発揮する。
蕎麦割烹 ながの/Sobakappo Nagano(蕎麦)
蕎麦は、せいろと粗挽きの二種。鰊の旨煮や海老の漬け焼きなど、酒が進む肴が種類豊富。香下/Koshita(日本料理)
神代杉のカウンターは恩師から譲り受けた。修業で培った技術を礎に、食材と手法を掛け合わせ個性を打ち出す。
ぎんざ鮨一代 有吾/Ginza Sushi Ichidai Yugo(寿司)
場所は歌舞伎座近く、黒檀の縁に白地の看板。細長い姿のすしは食べ応えあり、昼のばらちらしは人気の品。
ロワゾー・ドゥ・フランス/Loiseau de France(フランス料理)
ポーチドエッグのムーレット、牛の赤ワイン煮込みは、ソーリューのラ・コート・ドールがブルゴーニュの風を運ぶ。
天ぷら 北川/Tempura Kitagawa(天ぷら)
天ぷらは食べ歩き独学、魚を見る目はすし屋で養った。志すのは軽やかさと自由さ。太刀魚から始めるのは型破り。
タクボ 白金台/TACUBO Shirokanedai(イタリア料理)
ゲストは一つのテーブルを囲み、楽しさを分かち合う。前菜やパスタ、薪火焼きの肉をシェアして味わいたい。
鮨処 しし/Sushidokoro Shishi(寿司)
品数が豊富なおまかせ。自慢のすし種は鮪。尊敬する仲買人から仕入れ、三貫続け楽しませてくれる。
新楽記/Shinrakuki(中国料理)
先ずは広東風の焼物を注文したい。豚やアヒル、鴨など、蜂蜜や麦芽糖、醤油などを使い旨みを凝縮させ焼き上げる。
手打蕎麦 じゆうさん/Teuchisoba Jiyusan(蕎麦)
酒肴は海老の味噌漬け焼や棒にしんが揃う。細打ちのせいろは喉越しが良い。田舎は殻ごと挽くため風味が豊か。釉月/Yugetsu(居酒屋)
流麗な筆致の献立。どの品も一工夫あり、酒が進んでしまう味わい。作家物の器が料理と酒の楽しみを深める。
酒亭 田中/Shutei Tanaka(焼鳥)
兄が季節の料理、弟が焼鳥を担う。地鶏の旨みを生かすため塩味が主流。端正なつまみと焼鳥に日本酒が進む。
ジージョ/Gigio(イタリア料理)
トマトソースのピチ、野菜のスフォルマート。現地で学んだ郷土料理を充実させる。
西麻布 香宮/NISHIAZABU SHANGU(中国料理)
シェフは指揮を執りながら、豪快に中華鍋を振る。伊勢海老や鮑、干し貝柱、乾燥茸などを献立に盛り込む。
カオ/KHAO(タイ料理)
米粉麺の焼きそばはストリートフードから。手製の調味料で地方料理も再現。タイ料理への探求心があふれる。
神田錦町 鮨 たか晴/Kandanishikicho Sushi Takaharu(寿司)
つまみで揚げ物を供すのは、すし屋にない満足感。すし種は締める、漬ける、煮るといった伝統の技を見せる。
元あざぶ くしま/Motoazabu Kushima(日本料理)
好きが高じて和牛を盛り込む。宮崎牛を扱い故郷の魅力を伝える。自由な献立は、楽しさと満足感を味わえる。
天ぷら あらたみかわ/Tempura Aratamikawa(天ぷら)
江戸前の種を代表する海老、きす、穴子を欠かさない。高温の油で揚げるというより焼く感覚。
フソウ/FUSOU(現代風料理)
食材探しのため地方を旅し、国産素材に力を注ぐ。締めにハンバーガーを供すなど、遊び心も忘れない。
食堂わた/Shokudo Wata(居酒屋)
肩肘張らない空間で手間をかけた料理の数々。気軽に味わえる料理は、素朴な中に深い味わいが込められる。
ル・ジャルダン・ド・カモ/Le Jardin de Kamo(フランス料理)
地中海を彷彿させるという理由から瀬戸内の食材を好む。柑橘、ハーブ、スパイスと魚介を合わせ洗練させる。
野田/Noda(現代風料理)
フランス料理の経験から素材を重ねる料理を生み出す。ペアリングを推奨し、一品ごとにマリアージュさせる。
鮨 大矢/Sushi Oya(寿司)
つまみの定番は、あん肝煮と蒸し鮑。すし種は淡い味から濃い味へと流れ、白と赤の酢飯を握り分ける。
鮨 田中/Sushi Tanaka(寿司)
産地の異なる米を別々に炊き、それを合わせ酢飯に。どの種にも合うようにと、赤酢と米酢を合わせる。
赤坂 島袋/Akasaka Shimabukuro(日本料理)
椀物の吸い地は鮪節をその場で削ってだしを引く。壁にかかる「ご縁」の書が示すよう誠心誠意を尽くす。
旧雨/Kyuu(中国料理)
中国伝統医学の薬膳師の資格から食養生を実践。養生スープは乾物、魚介、肉の旨味と季節の食材を合わす。
フラグメント 麻布十番/fragment Azabujuban(イタリア料理)
江戸前ならぬ“全国前イタリアン”がコンセプト。昼は選べるパスタランチ、夜はアラカルトを充実させる。
菊乃井 鮨 青/Kikunoi Sushi Ao(寿司)
「菊乃井」が開いたすし割烹店。先付、造り、椀物の流れに握りを組み込み、料理屋らしい工夫を凝らす。
下鴨 いち満/Shimogamo Ichima(寿司)
見た目に可愛らしい手毬寿司。茶巾で丸めず酢飯がほどけるよう優しく握る。何から味わうか迷うのも楽しさ。鶏匠 催/Torisho sai(焼鳥)
鶏肉は熟成庫で寝かせ、旨みを凝縮させる。その味わいが最も顕著に表れる、抱き身の一串から供す。
料理屋 かねみつ/Ryoriya Kanemitsu(日本料理)
修業先で培ったのは食材への敬意。魚介は炭火で焼き野菜をあしらう。素朴に見せながら料理と想いを届ける。
エット/Etto(イタリア料理)
アンティパストミストは、季節の葉を飾り八寸を意識した盛り付け。塩や酸味の利いた小皿料理5種をのせる。
リストランテ ドーノ/ristorante DONO(イタリア料理)
畑を耕し、野菜を育て、野山で山菜を摘む。地域の食文化を守り、イタリアで学んだ精神を通わせる。
いそやま/Isoyama(日本料理)
鯖きずし、煮蛸、鴨ロースは居酒屋で学んだ品。焼魚に酒盗やこのわたの餡を合わせ、酒との相性を心掛ける。
方寸 長島/Hosun Nagashima(日本料理)
椀物の吸い地は真昆布から旨みを引く。魚の炭火焼はだしの餡を合わす。だしを要に食材との調和に気を配る。
ミルパ/milpa(メキシコ料理)
母国の伝統に敬意を抱きつつ進化を図る。トウモロコシ、カカオ、唐辛子を取り寄せ、薪火で焼くのは伝統。
天ぷら 朔月/Tempura Sakugetsu(天ぷら)
職人は自らの考えを持ち、天ぷらそのものに比重を置く。天紙を敷かず、油切れの技術を見せるのも新たな試み。
天ぷら ふか名/Tempura Fukana(天ぷら)
天種を薄衣で包み香ばしく揚げる。中でもウニと海苔、和牛フィレ肉の大葉包みは自信作。
旬膳 季らく/Shunzen Kiraku(日本料理)
心掛けるのは共感。好みをうかがい、食べ手の味覚に合わせるのが料理人の本分という師の教えを守る。
ましの軒/Mashino Ken(中国料理)
香港料理をきっかけに中華の奥深さに魅了された。料理の由来を説明する姿から熱意が伝わる。
たけだ/Takeda(日本料理)
徳島の藍染暖簾で出身地を明かす。そば米汁は郷土料理。半田そうめんで作るラーメンも欠かさない。