フランスの著名な詩人であり、「レ・ミゼラブル」の著者として知られるヴィクトル・ユーゴーは、かつてこう言いました。
「音楽は、人間が言葉で言えないことで、しかも黙ってはいられない事柄を表現する」。
レストランのBGMは、食事をより特別な体験にするための立役者。キッチンで流れている音楽もまた、シェフやチームにとって重要な役割を担います。リラックス、集中、そしてチームのモチベーションを上げるためにも音楽は効果的です。
今回は、アジア・中東から9人のシェフによるお気に入りの曲を紹介します。
ラーメン ブレイクビーツ /柳瀬 拓郎
ミシュランガイド東京2024/ビブグルマン"Luv(sic) Part 2" by Nujabes feat. Shing02
"私はDJとしても活動しています。音楽は私の一部。店ではその日の気分によって様々なジャンルの音楽を流します。天気が良い日はレゲエ、気分が高揚しているときは、ファンキーなジェームス・ブラウン 。今回ピックアップしたのは、ヌジャべス。集中したい時や、料理に向き合いたい時にセレクトしますね”
Wana Yook /Chalee Kader
ミシュランガイドタイ2024/一つ星“Regulate(feat.ネイト・ドッグ)” by ウォーレンG
"料理をする時は常に頭の中に流れています。今では歌詞を全て覚えています"
Sur- /Ed Lin
ミシュランガイド台湾2023/一つ星"Giorgio by Moroder" by ダフト・パンク
“この曲は10以上の音楽ジャンルがミックスされていて、ジョルジオの創作過程をよく表していると思います。ハーモニーや音楽の「正しくあるべき」という概念を手放せば、どんなこともできるという歌詞。既成概念にとらわれず考え続ける限り、やりたいことは何でもできるということを気づかせてくれました。そのおかげで、私はキッチンで前進し続けることができると感じています”
Xôi Bát /Huynh Phuc Thinh
ミシュランガイドハノイ・ホーチミンシティ2023/ビブグルマン"San Francisco Street" by Sun Rai
“このタイプの音楽は気分を盛り上げてくれるので、よく聴きます。家族のために料理をしている時にぴったり。リラックスできます”
Tasca by Jose Avillez/Jose Barroso
ミシュランガイドドバイ2023/一つ星"O Show Tem Que Continuar" by アルリンド・クルス
“ブラジルの陽気なサンバのリズムを届けてくれる一曲。この曲を聴くたび、ポルトガルでの家族や友人とのひと時を思い出します。この曲は生涯のパートナー。困難から立ち直る力をもらい、何があっても人生は続けなければならないと奮い立たせてくれます。私の創造性を刺激し、料理のインスピレーションとなり、目標達成の原動力に繋がるのです”
Au Jardin/Kim Hock Su
ミシュランガイドクアラルンプール・ペナン2024/一つ星"Funhouse" by P!nk
"歌詞とリズムが気に入っています。妥協せず、何度でもやり直すことを恐れてはいけない、というメッセージに溢れています"
Willow/Nicolas Tam
ミシュランガイドシンガポール2023/一つ星"Wild Thing" by X
“たった10分で完成したにも関わらず、数多くのアーティストにカバーされ、愛され続けている曲。それは、心の赴くまま自然と生み出されるものは良いものであり、インスピレーションはどこからでも得られると証明しています。
料理の世界にも言えることで、偶然から生まれた一皿が、シグネチャーディッシュになる可能性もあるのです”
Mono/Ricardo Chaneton
ミシュランガイド香港・マカオ2023/一つ星"So What" by マイルス・デイヴィス
“マイルス・デイヴィスはかつてこう言いました。「そこにあるものを演奏するな、そこにないものを演奏しなさい」。
料理でも同じことが言えます。常にプロ意識と寛大さを持って創造、革新し、訪れるゲストを楽しませる必要があります。
おばあちゃんから受け継がれた料理、食卓に並ぶ家庭料理、そしてレストランで提供されるプロフェッショナルな料理。一見違うように見えて、ロジックはほとんど同じ。それは、ある種の意図から始まり、 素晴らしい作品として実を結ぶということです”
99 Sushi Bar Abu Dhabi /Thinus Van Der Westhuizen
ミシュランガイドアブダビ2023/一つ星ロードオブザリング サウンドトラック
“エルフの音楽は少しマニアックかもしれませんが、心を落ち着かせる効果があり、料理に集中できます”
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