Travel 3 分 2025年12月31日

イタリア・ドロミテ山脈にあるデザイン性の高いスパホテル

現代的なデザインとサウナ文化が息づく北イタリア・アルプス。地域に敬意を払う特別な滞在先を紹介

古代ローマの浴場文化は広く知られているが、現在のドロミテで評価を集めるスパの多くは、南チロルと呼ばれる地域に位置する。ドイツ語話者が多いこの地域は、オーストリア=ハンガリー帝国の影響を強く受け、中欧に根づくサウナや冷水浴の文化を形成してきた土地である。

何世紀にもわたりオーストリア=ハンガリー帝国の一部であったドロミテの山々はユネスコの保護下にあり、サウナや冷水浴を重んじる中欧的な入浴文化が受け継がれてきた。その精神は、バーデン=バーデンバート・ガスタインといった温泉保養地で培われてきた伝統とも通じている。

巧みに設計されたプールやスチームルーム、サウナだけが、滞在を特別なものにしているわけではありません。建築そのものが壮大な自然環境に深く溶け込み、日常から切り離された感覚を生み出すことも、大きな要素となっている。


未来的な造形が印象的な「コモ アルピナ ドロミテ」の外観 © COMO Alpina Dolomites
未来的な造形が印象的な「コモ アルピナ ドロミテ」の外観 © COMO Alpina Dolomites

コモ アルピナ ドロミテ/COMO Alpina Dolomites

ホテルの特徴:広大なスキーエリアへのアクセスと、非日常を感じられる建築デザインを備える、1ミシュランキーホテル。

白い御影石で覆われた直方体の本館とスパ棟に加え、宇宙船のような形状から地元で「UFO」と呼ばれる円形の別棟が並ぶ。いずれも、イタリア人デザイナー、パオラ・ナヴォーネが手がける。

「コモ アルピナ ドロミテ」は、サッソルンゴ山をはじめとするアルペ・ディ・シウジの峰々に囲まれた高原に位置する。朝は一方の山の稜線から昇る光を、夕刻には別の峰の向こうに沈む光を望める。ヨーロッパ最大級のスキーエリアの中心にあり、ゴンドラ網を使って多数のコースへ直接アクセスできる立地も、この滞在先の特徴となっている。


森に囲まれた高台に点在するロッジ群。「アドラー ロッジ リッテン」©Adler Lodge Ritten
森に囲まれた高台に点在するロッジ群。「アドラー ロッジ リッテン」©Adler Lodge Ritten

アドラー ロッジ リッテン/Adler Lodge Ritten

ホテルの特徴:森に囲まれた環境で静けさとロマンティックな雰囲気を味わえる、1ミシュランキーホテル。

松材を用いた居心地のよいコテージが、湖を囲む丘の斜面に点在する。周囲は森に包まれ、外界から切り離された静けさが際立つ。食事付きの滞在で知られるアドラーの中でも、「アドラー ロッジ リッテン」はスパ体験に特徴がある。高床式のサウナが木々の間に設えられ、アルプスの景観への没入感覚が味わえる。屋外の冷水浴槽に加え、メイン棟には屋内外を行き来できるプールが設けられている。

この地域では珍しく、車や長距離タクシーを使う必要はない。ボルツァーノからロープウェイでソプラボルツァーノへ向かい、100年以上の歴史を持つ狭軌鉄道(線路幅の狭い鉄道)に乗り継ぐことで到着できる。


山と森に溶け込むように建つ「フォレスティス ドロミテ」 © Forestis Dolomites
山と森に溶け込むように建つ「フォレスティス ドロミテ」 © Forestis Dolomites

フォレスティス ドロミテ / Forestis Dolomites

ホテルの特徴:人里離れた環境と美食を重視する滞在者に向けた、2ミシュランキーホテル。

1912年、オーストリア人建築家オットー・ワーグナーが手掛けたハプスブルク家の療養施設(サナトリウム)が、このホテルの中心。その周囲に新たに建てられた三棟のタワーが客室を構成し、山と松林に向かって角度を持たせた幾何学的な建築が、ラグジュアリーリゾートを象徴している。

客室には、カラマツ材をはじめとするアルプス地方の伝統的な建築素材が用いられている。自然景観を望むサウナに加え、専用の冷水浴槽を備えた屋外サウナ小屋や、湯気が立ちのぼる屋外プールも設けられており、風景と向き合う時間が大切にされている。

1912年に建てられた5ベッドルームのヴィラは全面改装され、広い専用スパを備える。このヴィラのみ、子どもの宿泊が可能となっている。
また、山腹を掘って作られた洞窟空間にある新レストラン「Yera」では、森の環境に着想を得た料理が提供されている。館内には、宿泊者向けのレストランも別に備わる。


100エーカーの自然保護区に囲まれた「サン ルイス リトリート ホテル & ロッジ」 © San Luis Retreat Hotel & Lodges
100エーカーの自然保護区に囲まれた「サン ルイス リトリート ホテル & ロッジ」 © San Luis Retreat Hotel & Lodges

サン ルイス リトリート ホテル & ロッジ/San Luis Retreat Hotel & Lodges

ホテルの特徴:洗練されたミニマリズムと冬の遊び心ある体験を融合させた、1ミシュランキーホテル。

元ファッションデザイナーのイルゼ・マイスターが手がけ、チロル地方の建築や暮らしの感覚を手がかりに構成されている。敷地の中心にはスパを備えたメインロッジがあり、ガラスに囲まれた空間の屋内温水プールは、そのまま屋外へと続き、自然との一体感を生む。

屋外には透明度の高い池が広がり、季節によって冷水浴や、氷上スケートが楽しめる。周囲の森には、木造の独立型ロッジやツリーハウスが点在し、いずれも池に面したサウナと暖炉を備え、落ち着いた内装でまとめられている。


1930年代の山岳ロッジを現代的に再構成した「アマン ローザ アルピナ」 © Aman Rosa Alpina
1930年代の山岳ロッジを現代的に再構成した「アマン ローザ アルピナ」 © Aman Rosa Alpina

アマン ローザ アルピナ/Aman Rosa Alpina

ホテルの特徴:長い歴史を持つ山岳ロッジを静謐なミニマリズムで再構築された、2ミシュランキーホテル。

1930年代から親しまれてきたローザ・アルピナは、建築家ジャン=ミシェル・ガティの手により、アマンのホテルとして生まれ変わった。淡色の木材やドロミテの石材、床から天井までのガラスを用い、山の景観を室内から楽しめる構成となっている。

家族連れの滞在にも対応する一方で、空間全体は静けさを重視した簡素な設えを貫かれている。スパには屋外のインフィニティプールを含む三つのプールと屋外ジャグジーが設けられている


ドロミテ屈指の眺望を誇る「ホテル フベルトゥス」 © Hotel Hubertus
ドロミテ屈指の眺望を誇る「ホテル フベルトゥス」 © Hotel Hubertus

ホテル フベルトゥス/Hotel Hubertus

ホテルの特徴:大胆な建築表現と眺望を生かしたスパ空間を特徴とする、2ミシュランキーホテル

イタリアの建築事務所NOAが設計を手がけ、現代的な造形を前面に押し出した構成となっている。全長25メートルのスカイプールが建物から外へと張り出し、草地の斜面の上空に浮かぶように設けられている。湯に浸かりながらドロミテの景観を一望できる。

サウナとワールプール(気泡噴流を備えた温水浴槽)のエリアも、蜂の巣のように宙に張り出し、日常から切り離された浮遊感をもたらす。スパ小屋は、水面に映る反転像のように上下逆さまに配置されている。


ドロミテ屈指のモダンなデザインを備える「ミラ モンティス」 © Milla Montis
ドロミテ屈指のモダンなデザインを備える「ミラ モンティス」 © Milla Montis

ミラ モンティス/Milla Montis

What it’s all about: Serious style at a surprisingly affordable One-Key standout.

ホテルの特徴:山の眺望を生かした現代的な建築と、手の届きやすい価格帯を両立する、1ミシュランキーホテル。

山景色を最大限に取り込むことを前提に設計され、黒く焼いた木材の外観に、アルプスの伝統的な切妻屋根を組み合わせている。大きなテラスや丸窓が設けられ、サウナからも山の稜線を望める。設計を手がけたのは、イタリア・ミラノを拠点とするピーター・ピヒラー・スタジオ。その建築は、国際的な建築賞であるDNA Paris Design Awardを受賞している。

スパには、干し草の香りに包まれるヘイルームがあり、敷地内を流れる小川は冷水浴として利用できる。


1980年代築のホテルを大胆に刷新した、「シュカグラー ホテル」 ©Schgaguler Hotel
1980年代築のホテルを大胆に刷新した、「シュカグラー ホテル」 ©Schgaguler Hotel

シュカグラー ホテル/Schgaguler Hotel

ホテルの特徴: 山でのくつろぎと、タウンライフの両方を備えた、1ミシュランキーホテル。

ピーター・ピヒラー・スタジオによる、印象的な現代建築プロジェクトの一つ。カステルロットの中心部に位置し、1980年代に建てられた建物を、ガラスと幾何学的な造形を用いて昇華させている。伝統的な山岳ロッジの構造を踏まえつつ、現代的な表情の外観が特徴。館内は栗材を用いた内装と淡い色調の床でまとめられ、ドロミテの山々を望む開放的な空間が広がる。

館内には二つの温水プールと二種類のサウナがあり、屋外テラスにはワールプールが設けられている。


かつての狩猟用ロッジを、優雅な5つ星ホテルとして再生した「カステル フラッグスブルク」 © Castel Fragsburg
かつての狩猟用ロッジを、優雅な5つ星ホテルとして再生した「カステル フラッグスブルク」 © Castel Fragsburg

カステル フラッグスブルク/Castel Fragsburg

ホテルの特徴:ロマンティックな雰囲気と、独自のウェルネス体験を備える、2ミシュランキーホテル。

メラーノの山腹からドロミテを望む場所に位置する。ユネスコの保護下にある断崖の山並みから少し離れた場所に佇む。その距離感は、かつての狩猟用ロッジに由来する室内にも表れている。ドロミテに多い現代的なミニマリズムよりも、メラーノの優雅な伝統に沿った、どこか懐かしくロマンティックな設えが基調となる。花柄の客室や、アンティーク調のベッドがこのホテルならではの魅力を形づくり、周辺を巡る拠点として心地よい滞在が叶う。

スパには屋外のマッサージルームがあり、アルケミーと手摘みしたハーブや花を用いる独自のアプローチで、癒やしのトリートメントを提供している。



Hero image:「ホテル フベルトゥス」の宙に張り出したプール @ Hotel Hubertus

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