Features 2 分 2022年6月17日

ミシュランガイドのインスペクターとは?

英国人インスペクターへの取材を通し、ヴェールに包まれた秘密を解き明かします。

Interview Japan Michelin Inspector

インスペクターは、世界の中で最高の仕事の1つと言われています。確かにその恩恵はありますが、理想に溢れ華やかな面ばかりではありません。長期の出張で家族や友人と数週間離れて過ごすこともあります。しかし、彼らは大きな困難に直面しても、仕事への情熱を絶やすことはありません。

近年はコロナ禍という未曾有の事態により、彼らのスタイルは変化を余儀なくされました。特にロックダウン期間中は、インスペクターは落ち着かない日々を過ごしました。彼らは一歩下がって状況を見守りながら、経済活動が再開されたら、レストラン業界をサポートしたいと心から願っていました。そして、現場へ戻るタイミングが訪れた時、かつて見た風景は一変していたのです。

2022年の今も、人との交流や渡航の制限など課題が残ります。しかしながら、インスペクターは現場への復帰を心から喜び、レストラン業界が一丸となって前進する姿に勇気づけられています。

今回、私たちは英国で8年間インスペクターを務めるエミリーに話を聞きました。

仕事のどんな所に魅力を感じますか?

自由に世界各地を飛び回り、新たなレストランを発見することです。私達の責務は将来有望な才能の発掘です。新しいシェフが現れて技術を磨く姿を目の当たりできるので、非常にやりがいを感じます。仕事への満足度は計り知れません!

ミシュランに入社して、驚いたことは何ですか?

多くの国々へ出張することですね。素晴らしいレストランでの食事は予想していましたが、世界中にこれほど存在するとは想像以上でした。グローバルで同じ基準を保ち、世界中のレストランを同様に評価することは極めて重要です。状況が落ち着いたら、新しい国への進出も計画しています。ミシュランで働く毎日は、とてもエキサイティングです。

未来に向けた活動で楽しみなことは何ですか?

私たちはデジタリゼーションに向けて取り組んできましたが、ロックダウンはその動きを加速させました。昨年、初めての試みとして「MICHELIN Guide the Great Britain & Ireland 2022」は書籍の発売はなく、ミシュランガイド公式ウェブサイトのみでリリースされました。またイギリスでは、ミシュランガイドのiOSアプリとAndroidアプリも運用開始されました。

最近では一部の国や地域で、ミシュランガイドのライブアップデートを導入しました。星付きレストラン、ミシュラングリーンスター、特別なアワード、これらは、ミシュランの掲載発表会で年1回発表されますが、新たにおすすめしたいレストランも毎月ミシュランガイド公式ウェブサイトのリストへ追加されます。

オンラインコミュニティーの進化は、ミシュランガイドの歴史的な誤解や謎を解くツールになっています。私たちは引き続き、匿名でレストランを訪れ食事をします。その反面、ユーザーの皆さんには少しだけ中の世界を覗いてもらい、インスペクターの仕事へ理解を深めてもらいたいと願っています。

チームメンバーについて教えてください。

皆はとても仕事熱心で、近所のビストロであれ、世界的に名の知れたレストランであれ、いつ訪れても同等の注意を払います。私たちはレストランへ訪れ、その息遣いを肌で感じます。そのため会議は常に活気に満ち、綿密に行われます。キッチンチームのように、唯一無二の絆で結ばれています!

男性中心の業界で、女性であることをどう感じますか?

私が仕事を始めた頃は、男性の同僚とよくレストランに足を運び、夫人として紹介されました。男性の様に、頻繁にワインリストの確認や会計をさせてもらえない経験もしましたね。幸いにも、そのような機会はかなり減り、状況は改善されています。

一般的に、ホスピタリティー業界は依然として男性中心でありつつも、徐々に正しい方向へ向かっています。昨年、2軒のレストランが三つ星として掲載されました。どちらも女性シェフです。(クレア・スミス氏エレーヌ・ダローズ氏)彼女達は、レストラン業界に憧れる若者にとって素晴らしいロールモデルだと思います。

Clare Smyth and Hélène Darroze
Clare Smyth and Hélène Darroze

出張中はどこに滞在しますか?

幸運にも、私はこれまで世界でも指折りのホテルに滞在しました。もちろん、それを当然とは思っていません。 私はLINE Hotel Los Angelesに1カ月ステイしたあと、数週間後にはイタリアのCastelFragsburgで過ごしたこともあります。ホテルのセレクションはバラエティに富みます。タブレットホテルがミシュランファミリーの一員となった今、素晴らしいホテルへ赴く機会がさらに増えるでしょう。

最初の取材先を覚えていますか?

もちろん!訪れる場所から出会う人まで、どの取材もユニークです。最初の取材先はアイルランドです。ダブリンの空気には活気があり、生き生きしています。現地のB&Bは世界でも有数で、ホスピタリティ精神に溢れています。スコットランドにもトレーニングで滞在しました。いつ訪れても見事な景色に、決して飽きることはないでしょう。食材もクオリティが高いですね。

特に誇らしく感じることは何ですか?

イギリスとアイルランドの食文化が多様性に富んでいること、そしてそれが私たちのセレクションにも反映されていることです。素朴な近所のビストロから世界的に有名な星付きレストランまで、あらゆる価格帯の様々な料理を紹介しています。実は、それらレストランは世界中にいる同僚たちの「行ってみたいレストランリスト」でもあるのですよ。

ミシュランのインスペクターだからこその経験を3つ教えてください。

伝えたいことはたくさんあります!その中で3つに絞るなら、こう答えます。

1.荒廃したイギリスのバーが、国内の素晴らしいシェフによって、洗練されたダイニングパブへと変貌を遂げるのを目の当たりにしたこと。

2. 北欧諸国のダイニングシーンの進化を見続けること–現地には才能に溢れたシェフ達がいます。

3. 新たな「ミシュランの星」の授与、すなわち人生を変えるような多くの決断に携わっていること。



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