インスペクターは、ガストロノミーへの情熱を持った真の探検家です。ミシュランガイドがカバーする地域を巡りながらレストランを探し求め、世界中を旅します。ホテルの高級レストランから、都会の飲食店、小さなビストロ、パブ、屋台まで、年間250以上のレストランを訪れ匿名で食事をし、その経験を詳細にレポートします。
“インスペクターはユーザーに同じ体験をしてもらうため、一般客のように装います”
ミシュランの社員であるインスペクターは、ユーザーにも同じ体験をしてもらうため、一般客のように装います。仮の名前で予約し、ランチまたはディナーで食事をした後に支払いを済ませます。そのため、匿名性と独立性が守られます。厳格なインスペクターが料理の評価をノートに書き留めるといったイメージにはほど遠いのです。
インスペクターは、誰もがなれるわけではありません。この仕事には、専門知識と特殊な技能が求められます。レストランやホテル業界において10年以上の職務経験に加え、優れた味覚を持ち、個人の嗜好ではなく、客観的な判断が必要になります。また、世界の食材、テロワール、食文化に関する幅広い知識を持たなければならないのです。
インスペクターは5つの評価基準に従って調査します。食材の質、料理技術の高さ、味付けの完成度、独創性、常に安定した料理全体の一貫性。世界同一の基準を用いることで、ミシュランガイドセレクションのクオリティを保ちます。また、レストランが提供する料理を対象とするため、台湾のフードコートからパリの高級ホテルのレストランまで、あらゆるタイプのレストラン、料理の評価を可能にしています。
つまり、インスペクターは好奇心旺盛で、ガストロノミーへの情熱を持つ真のプロフェッショナル。世界中のダイニングシーンの探索、新たな目的地の発見、有望なシェフの発掘を共有することに喜びを感じています。常に考えていることは、ガイドの情報を頼りにレストランを訪れる人々の満足感なのです。
“インスペクターは合議制のもと各自が評価します”
インスペクターはチームで活動します。1年を通してレストランを訪れ、セレクションを更新し、合議制のもと各自が評価します。おすすめ情報が客観的で最新であること、また東京からサンフランシスコ、コペンハーゲン、イスタンブールまで、世界基準の評価を目指します。
ミシュランガイドのセレクションは、インターナショナルディレクター、その国のディレクター、そして選考に携わるすべてのインスペクターが出席する会議で協議されます。意見の相違がある場合は、慎重に検討を重ねます。合議制で評価が決まるという点で、非常に注目されているのです。
*この記事はEverything You Want to Know About the MICHELIN Guide Inspectorsを基に、MICHELIN Guide Japanで再編集しました。
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