Features 1 分 2021年9月23日

焼鳥

店先に漂う香り、郷愁を誘う赤提灯、今夜は焼鳥気分。

焼鳥の歴史


仏教国の日本では、飛鳥時代 から明治初期 まで、牛や馬などの家畜を守るために肉食禁止令が出されていた。夜明けを告げる鳥として飼育された鶏 もその一例。しかし、雉、鴨、小鳥といった野鳥は“薬食い”と称し、滋養として食していた。

明治半ばに焼鳥の屋台が誕生。当時は軍鶏鍋が人気であり、まだ鶏肉が高価だったことから、料理屋から出た端肉や内臓を串に刺してタレ焼きにした。牛や豚の臓物も焼き、これらを総称して「やきとり」と呼んだ。今でも鶏肉以外でも同じ名で呼ぶのは名残である。

1960年代にはブロイラーの普及により大衆化が始まった。その後、食の安全性と高い品質が求められて地鶏や銘柄鶏の開発が行われ、味と個性を売りにする時代へと進化した。


Photo: shutterstock
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“焼きトリビア”


串に刺したのはなぜ?

古くから日本料理では、形が崩れやすい焼物に串を刺した。タレをつけるのも、調理するのも安易。屋台で流行したように、箸もいらず食べやすいため。


なぜ夜しか営業しない?

味の良い店は自ら串打ちをする。中には丸鶏を仕入れて一から捌く店も。仕込みに時間がかかり、昼の営業は到底できない。


なぜ備長炭で焼くとおいしいの?

1000℃以上の高温になり、食材の旨味を素早く閉じ込められる。炎が立たないため焦げにくく、臭いが出ないため食材の風味も損なわない。




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部位の名称の由来


「ねぎま」は、葱と鶏肉を交互に刺したものだが、本来は「ねぎ」と「まぐろ」の略。江戸時代、葱と鮪を串に刺して炙り焼きにしていた。その姿に似ていることから、鶏も「ねぎま」と呼んだ。


「ハツ」は、鶏の心臓を表す。言葉の響きから想像できるように、英語のHeartsに由来する。


「ソリ」は、銀座「バードランド」が発祥。この店を訪れた、あるフランス料理の給仕人が主人にソリレスを教えてくれた。フランス語のsot l‘y laisse(ソリレス)が語源で、“愚か者は、そこを残す”という意味。もも肉の付け根近く、見つけにくい場所にある。

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締めのご飯物といえば親子丼。濃厚な玉子が鶏肉にからむ。“卵が先か鶏が先か”なんて気にせず頬張れば、思わず笑みがこぼれるだろう。

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国内のミシュランガイドのみならず、ニューヨーク、香港、ソウル、シンガポールでも「Yakitori」を紹介。日本の屋台文化から広まった焼鳥は、今世界へ羽ばたいている。



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