2024年10月17日、「ミシュランガイド東京2025」の新たなセレクションが発表されました。私たちは何人かのインスペクターに、過去1年間を振り返り、東京で体験した数々のダイニングエクスペリエンスから特に記憶に残る料理を選んでもらいました。
インスペクターから共有されたリストは、その季節だからこそ味わえる一品、伝統を受け継いだ料理、シェフの経験や感性から生まれたものなど、バラエティに富むセレクションとなりました。
「軍鶏のコンソメ 究極の大根」
白寧/hakunei
コースの始まりを告げる淡黄色のスープ。コンソメの語源は「完成された」という意味を持ち、軍鶏の旨みと大根を見事に一体化させている。大根の白さは日本古来の神聖な色。若きシェフの純真な気持ちが伝わってくる。「桃のベニエ」
山/Yama
抹茶の衣で揚げた桃、添えられた梅のジャムの酸味が味わいに変化を与える。上質な果物はそのままでも、おいしいのだが、その上を更に行く冷温の妙が秀逸。桃を昇華させる料理人の存在価値を高めた一品でもある。「豆乳のブランマンジェとジャガイモのアイスクリーム」
フロリレージュ/Florilège
食の持続可能性となるプラントベースの食材。その方向性は環境や健康への配慮と共に、格別な味を生み出している。ジャガイモのアイスクリーム、豆乳ムース、黒トリュフのスライスが渾然一体となり、記憶に残してくれた。「角もろこし」
天ぷら 元吉/Tempura Motoyoshi
夏の到来が楽しみな四角い天ぷら。とうもろこしの粒を一つずつほぐし、とうもろこしペーストでつなぎ揚げている。衣に液体窒素を含ませるのは、きめ細かな食感にするため。革新の手法が天ぷらの常識を打ち破る。「まぐろの握り」
佐野鮨/Sanosushi
江戸前鮨の花形に想いを馳せた一貫。まぐろは妥協しない仲買人と親交を深め、腹上(はらかみ)と呼ばれる部位を好む。厚めに切りつけた握りは大振り。やわらかく繊細な身質、旨みと香りの余韻が長い。「愛知県産めぐみ鴨」
セザン/SÉZANNE
東三河の鴨を吊り干し、蜂蜜を塗り焼くのは北京ダックがヒント。濃厚な肝ソースはフランス古典への敬意から。日中仏の食文化を掛け合わせ、唯一無二の一皿を生み出している。Top Image: Ⓒ Sanosushi
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