「自分で食べておいしいと思うもの、自分が自信をもって出せるものだけを選りすぐり、提供しています」。そう語るのは、東京中目黒に店を構える、すし職人宇田津久氏。2019年に「宇田津 鮨」の暖簾を掲げてから、一貫してお客様の笑顔のためにすしを握る。
そんな宇田津氏が選んだキャビアがN25。初めて試食した時、滑らかで力強い味わいに驚いたという。今まで濃厚なウニとキャビアを合わせていたが、キャビアの質の高さを楽しんでもらいたいと、さつま芋と合わせ、最中に挟み供することに。口へ運ぶと、キャビアの塩味とさつま芋の甘みが重なる。
キャビア最中は2種あるコースのうち、渾身の献立でのみ味わうことができ、おきまりのハーブ巻の次に供される。「自信があるからこそ2品目に出します。最初の見せ場ですね」。
また、宇田津氏はすし文化を後世に継承するための活動にも力を注ぐ。若手育成の一環として週に一度、弟子が握る日を設ける。「すし文化を衰退させないためには若手を育てることが重要。私たちの世代でもっとこの業界を盛り上げ、良いかたちで繋いでいきたいと思います」。
「今でも迷ったら、お客様が喜ぶかどうかの視点で考えます」と笑顔で語る宇田津氏。その言葉には日々おいしさへの研究を重ねる実直さと、つい顔を見に訪れたくなる朗らかな人柄が映し出されていた。