Features 3 分 2023年1月16日

アジアのトップシェフによる2022年ハイライトと2023年の展望

何という年、いや時代だったのだろう。3年にも及ぶパンデミックの出口がようやく見え始めている中、アジア各国のミシュラン星付きレストランのシェフたちが、過ぎ去ったばかりの1年を振り返り、2023年に込める思いを語ります。


Pichaya “Pam” Soontornyanakij

Chef, Potong

タイ/バンコク

2022年のハイライトは?
2022年3月から地元の食材に限り、料理を供してきました。また、タイ南部の小さな漁業組合から魚介類を仕入れることにより、地域を支援しています。

2023年に込める願い
私たちはコロナ禍の中、懸命に取り組み、大変な時を乗り越えてきました。このような世界規模の大惨事が早く終息することを願っています。そして、ゲストにおいしい料理を作ることに尽力します。皆様の健康を心から願っています。

2023年に取り組みたいことは?
新しいメニューを正式に発表します。このメニューは、新たに地元の農家と協力し、目新しい食材を紹介します。 また、サービスの質を向上するのも新たな試み。ワインは20ヵ国のワイナリーからなるセレクションに更新。ダイニングは一部を改装して、より良い体験を提供します。

Potong

฿฿฿฿ · イノベーティブ
One MICHELIN Star: High quality cooking, worth a stop!
422 Vanich Road, Bangkok

Su Kim Hock

Chef Patron, Restaurant Au Jardin

マレーシア/ペナン

2022年のハイライトは?
ミシュラン一つ星を獲得したことです。私たちの地域が、ミシュランガイドの対象になるとは夢にも思っていませんでした。ミシュランの星を獲得できたことは、私たちの過去数年間に及ぶ努力の結晶です。「ミシュランガイド クアラルンプール・ペナン2023」のおかげで、マレーシア全土のレストラン関係者の士気が上がり、業界全体が発展していくでしょう。

2023年に込める願い
コロナの影響がいまだに残る中、飲食業界、特に高級レストランの経営が思うようにいかないことは誰もが予測していることと思います。すべてのレストランの仲間たちがこの困難を乗り越え、希望を持ち続けることを祈っています。精神的、肉体的に必要な時は、いつでも助け合います。それこそが現在、ペナンのシェフたちの間で行われていることなのです。

2023年に取り組みたいことは?
今私たちは、レストラン、ゲスト、生産者たちのために、二つの施設を建設しています。
一つ目は開発スタジオ兼ライブラリー。生産者から仕入れた季節の食材を使い、独創的かつ刺激的なメニューを創造していきます。
二つ目は小さな農場です。パンデミックの影響を受けた農家の方々と話し合い、レストランからの食材ロスを堆肥として土に還し、果物や野菜を育てます。

Au Jardin

$$$$ · 現代風欧風料理
One MICHELIN Star: High quality cooking, worth a stop!
The Warehouse@Hin Bus Depot, 125 Jalan Timah, George Town

Wu Zhi-Wei

Chef, Shin Yeh Taiwanese Signature

台湾/台北

2022年のハイライトは?
私たちにとってミシュランの星を獲得したことは、重要な節目となりました。料理とサービスを追求するチームの努力が証明されたのです。この栄誉のおかげで、チームの向上心がより一層駆り立てられ、日々真摯に取り組んでいます。

2023年に込める願い
才能に溢れる若い世代がレストラン業界に加わり、より多くのエネルギー、イノベーションをもたらすことを願っています。また、台湾料理の幅広さと奥深さをより深く認識、評価していただき、料理に込められている伝統や文化を後世に継承していきます。

2023年に取り組みたいことは?
調理技術などの研修を継続するだけでなく、チームで星付きレストランや、農家や漁港を訪れる予定です。台湾のテロワールの多様性を示す地元食材について学び、それらを仕入れます。また、ティーペアリングも新たな試みです。台湾には、職人技と繊細さを兼ね揃えたお茶がたくさんあるのです。

One MICHELIN Star: High quality cooking, worth a stop!
Marriott Midtown, 199 Lequn 2nd Road, Zhongshan District, Taipei

Tristin Farmer

Executive Chef, Zén

シンガポール

2022年のハイライトは?
2022年はコロナ前の生活に戻り始めた一年となりました。
友人、家族やスタッフと食卓を囲む喜びを久々に味わうことができました。その中で特に印象深かったのは、チームで研修の一環として、バルセロナからサンセバスチャンまで訪れたことです。
また、「ミシュランガイドシンガポール2022」発表ガラディナーに招待され、料理を振る舞ったこともハイライトすべき出来ごとです。2021年にミシュラン三つ星をいただいたことは人生を変える瞬間でしたが、オンラインだったため十分に喜びを分かち合うことができませんでした。2022年の発表会では、レストラン業界の仲間たちと共にお祝いをすることができ、感動的な日となりました。

2023年に込める願い
私のポジティブな意欲と幸福への祈りを、チーム、友人、すべての人に送りたいと思います。世界では悲しいニュースや困難な状況が未だに続き、私たちの生活に影響をもたらしています。それぞれが最善を尽くし、課題に取り組んでいきましょう。

2023年に取り組みたいことは?
エキサイティングな仕掛けを考えています。お楽しみに。


Zén

$$$$ · 現代風欧風料理
Three MICHELIN Stars: Exceptional cuisine, worth a special journey!
41 Bukit Pasoh Road, Singapore

Mingoo Kang

Chef-Owner, Mingles and Hansik Goo

韓国/ソウル・香港

2022年のハイライトは?
シェフとしての印象深い出来ごとは、香港にあるHansik Gooがミシュラン一つ星を獲得したこと、またソウルのMinglesが二つ星を維持したことです。
プライベートでは、家族の愛を改めて感じた一年でした。出張は多かったものの、初めて家族で海外旅行に行くことができました。人生で一番幸せだったといっても過言ではない、特別な時間でした。

2023年に込める願い
海外でも韓国料理の人気が高まっています。2022年、アメリカにある韓国料理店がミシュランの星を獲得しました。韓国の若いシェフがこれに続き、まい進してくれることを願っています。自国の 料理が世界で確立されるためには、私たちが主導しなければなりません。2023年はアメリカ以外の国でも、多くの星が輝くことを願っています。

2023年に取り組みたいことは?
今年は10年目を迎えるMinglesに専念したいと考えています。私たちにとって、2022年はチャレンジと新しいプロジェクトの年でした。2023年はMinglesを見つめ直し、私たちの色を打ち出す年にしたいです。Minglesの新たな姿をお楽しみに。

Mingles

₩₩₩₩ · 現代風料理
Two MICHELIN Stars: Excellent cooking, worth a detour!
2F, 19 Dosan-daero 67-gil, Gangnam-gu, Seoul

Vicky Lau

Chef, Tate

香港

2022年のハイライトは?
2022年は、絶え間なく変化する規制に対応し、困難な年となりましたが、驚異的に成長した年でもありました。
2022年を語る上で、TATE10周年記念イベントは外せません。イベントでは、開業当初から支えてくださったお客様とお祝いをしました。
また、中国料理とフランス料理の融合をコンセプトにしたMoraのオープンも重要な出来ごとです。アジア料理の鍵となる食材、大豆に注目し、高級料理において未知の可能性を秘めた大豆の可能性を深掘りしています。

2023年に込める願い
レストラン業界で生き残る厳しさをもっと多くの人たちが認識してくれることを願っています。直前や無断でのキャンセルは、利用者にとって些細なことでも、小さなレストランは打撃を受けます。
またコロナ禍により、才能ある料理人たちがキッチンから離れざるを得ない状況でした。早くこの業界に戻って来られること、コロナが希望に満ちた若者の夢を妨げないことを願います。

2023年に取り組みたいことは?
私たちは技術を進化させ、地元の食材で創作するよう努めています。身近な食材を、ふさわしい姿に変えることが最大の喜びです。大豆や豆腐を美しい料理やデザートに昇華させるための技を探求します。
また、食品ロスの再利用により、厨房から出る廃棄を減らしたいと考えています。


Tate

$$$$ · イノベーティブ
Two MICHELIN Stars: Excellent cooking, worth a detour!
210 Hollywood Road, Hong Kong

Hajime Yoneda

Chef, HAJIME

日本/大阪

2022年のハイライトは?
2022年はコロナからアフターコロナに向かう転換期になる一年であったと共に、私自身が50歳になる節目の一年でした。これからの人生を進めていくために、多くの人と積極的にお会いした一年でもありました。

2023年に込める願い
2023年も私たち飲食業と社会の関係性を問い続けます。ポイントとなるのは、多様な幸せ。日本はこれだけインフラが整い、治安がよく、清潔な国なのに、幸せな顔をしている人が少ないと感じます。幸せを測る基準はGDPだけではなく、もっと多様であるべきだと思うのです。
私たち食の産業は幸せに直結します。レストラン業界を含め、文化を支えている産業は労働集約型産業です。非合理的である労働集約型産業をどう社会に組み込むか。この議論が全ての人が幸せになる社会的包摂につながると思うのです。

2023年に取り組みたいことは?
60歳までの10年間がスタートします。HAJIMEの集大成になるようなチャレンジをしていきたいと考えています。

ハジメ/HAJIME

¥¥¥¥ · イノベーティブ
Three MICHELIN Stars: Exceptional cuisine, worth a special journey!
大阪市西区江戸堀 1-9-11, 大阪

Xu Jingye

Chef, 102 House

中国/上海

2022年のハイライトは?
最高の瞬間はもちろんミシュラン二つ星を獲得したことです。非常に驚きましたが、このような栄誉ある賞を頂き大変嬉しく思います。

2023年に込める願い
今年こそコロナが終息し、多くの国内外のゲストがレストランに訪れてくれることを願っています。また、近い将来、海外のシェフとコラボレーションする機会が増えることを願っています。

2023年に取り組みたいことは?
初心を忘れることなく、当店独自の個性に磨きをかけたいと思います。今こそイノベーションを学ぶ時であり、継続することで確かなものとなります。2023年の最大の計画は、好奇心を持って学び続けることです。

102 House

¥¥¥¥ · 広東料理
Two MICHELIN Stars: Excellent cooking, worth a detour!
5F, The House of Roosevelt, Bund 27, 27 Zhongshan Dong Yi Road, Shanghai

Interviews coordinated by Mikka Wee in Singapore, Ming Ling Hsieh in Taipei, Pruepat Songtieng in Bangkok, Wakana Kubo in Tokyo, Nayoung Kim in Seoul, Gloria Chung in Hong Kong and Debbie Yong for Shanghai.

※本記事はミシュランガイドジャパンによって再編集されています。

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