「光の都」パリは、古くから美食家たちに愛されてきました。古くから続くビストロ、最先端のレストラン、星付きのファインダイニングまで、様々な食体験ができます。洗練されたホテルも見逃せません。そこで、厳選したミシュランのホテルとレストランで過ごす2日間のモデルコースを紹介します。セーヌ川の右岸・左岸エリアのどちらも楽しめる内容です。ぜひ旅の参考にしてください。
1日目:右岸エリア
Morning
中心部にある「Edgar & Achille」は観光拠点に最適なホテルです。ガラス張りのアーケードなど、昔ながらの街の面影が色濃く残る地区。絵のように美しいサンティエの広場を見渡せます。スタイリッシュなインテリアは、個性を求める都会派の旅行者に人気です。 ハイクラスのホテルをお好みなら、19世紀の旧ルーブル郵便局を改築した「Hôtel Madame Rêve」。ゆとりのある客室は現代的で、郵便をモチーフにしたメール・アート(絵画)は印象的。屋上のレストランからは市街の景色を望めます。
先ず、サンマルタン通りにある「Partisan」から一日を始めましょう。世界各地の農園からコーヒー豆を輸入し自家焙煎。自慢のブレンドコーヒーを提供しています。煉瓦の外壁、グレーの石板カウンターは、ブルックリンを思わせるインダストリアルな空間です。
モダンアートで有名なポンピドゥーセンターの広場を抜け、貴族の邸宅が残るマレ地区へ。パリ最古のマルシェ「Marché des Enfants Rouges」に向かいます。デリカテッセンの屋台で賑わい、その場で食べるのはもちろん、テイクアウトも可能です。
Lunch
レ・アル地区とルーブル美術館のエリアは、珠玉の美食スポット。伝統のビストロをお探しなら、1935年創業の「La Poule au Pot」。当時からの優雅な内装が特長です。メニューも同様に品があり、ボリューム満点。オニオングラタン、仔牛のクリーム煮込み、プラリネを添えたイル・フロッタントなど、家庭的なメニューが揃います。フランス料理以外を味わうなら、星付き店「Yam’Tcha」が監修する中華ビストロの「Lai’Tcha」。熱々の点心、エビのパン粉焼き、ガリシア産牛肉とプレウロ茸のフレッシュサラダなど、食欲をそそります。
Afternoon
お腹を満たしたら、ギャルリ・ヴェロ-ドタ(屋根付き通路)を通り、パレ・ロワイヤルのアーケードまで散策。1880年創業のワインショップ「Caves Legrand」では、希少なヴィンテージワインが揃います。いよいよ、ルーブル美術館へ。ガラスのピラミッドを始め、存分に鑑賞したら緑豊かな中庭のカフェで憩いの時間を。マカロン好きなら、大通りを歩いて「Ladurée」に立ち寄るのも良いでしょう。アートをさらに堪能したいなら、シャンゼリゼ通りにあるプティ・パレ美術館もおすすめです。
Dinner and a night out
昼とは違ったパリの一面を体験したいなら、「Moulin Rouge」で観劇を。また、流行の発信地SoPiで知られる南ピガール地区は、魅力的なレストランが続々と誕生しています。「Le Pantruche」は、昔ながらのビストロ。貝とリコッタのラヴィオリ、味噌風味の牛肉のコンフィ、グラン・マルニエのスフレなどが味わえます。同地区の「Grand Pigalle Hotel」内の「Frenchie Pigalle」も訪れたいレストランです。流行をとらえた親しみやすい空間。ロワール産の上質なワインを嗜みながら、料理をシェアするのも良いでしょう。
モンマルトルの丘はパリのランドマークの一つ。頂上の寺院へ続く階段は、神秘的なムードに包まれます。地図を頼りにジュノ通りを進むと、カクテルバー「Le Très Particulier」が見えてきます。プライベートガーテンを有する人気店。予約は忘れずに。
近隣のホテル
「Grand Pigalle Hotel」ボヘミアン調の客室は、ロマンチックな休暇を過ごすのに理想的。著名なデザイナーであるドロシー・レーネンが内装を手掛けています。カクテルバーの経営とあって、専任のミクソロジストによるカクテルが各部屋のミニバーに用意されています。
「Hôtel Pulitzer Paris」
パリの建築様式をテーマにモダンな客室を備えます。錬鉄製のバルコニーが特長。温かでフレンドリーなもてなしに落ち着きます。
2日目:左岸エリア
Morning
パリは歴史あるカフェが数多く存在する街です。サン・ジェルマン・デ・プレ地区を代表する「Café de Flore」や「Deux Magots」でクロワッサンを食べながら、街の空気を肌で感じるのも良いでしょう。対照的に、バビロン通りの「Café Coutume」は時代の先を歩むカフェ。LA MARZOCC社のエスプレッソマシーンやフィルターで淹れたスペシャルコーヒーを味わえます。
カフェから徒歩圏内に、地元の美食家から支持される「La Grande Épicerie」があります。老舗高級デパートが運営する食料品店。パン、菓子類、チーズ、ワイン、アルコール類など、厳選食材の宝庫です。一流ブランドや生産者とパートナーシップを結び、希少価値の高い商品を揃えており、自分のお気に入りを発掘するのもおすすめです。
セーヌ通り沿いを歩き、アカデミーフランセーズのエリアへ移動。セーヌ川に架かるポン デザール橋からは、シテ島とノートルダム大聖堂の尖塔を眺めることができます。背後には、駅舎を改装した壮大なオルセー美術館、その向かいの右岸にはルーブル美術館の長いファサードが広がります。
Lunch
「Semilla」は流行りの賑やかなビストロ。フランス各地の食材(ヴァンデ産の魚、ヴァル・ド・ロワール産の野菜、ドンブ地方の家禽など)を使用したメニューが揃います。一方、アラン・デュカスが手掛ける「Allard」は伝統料理が味わえるレストラン。1932年に開業し、パリのビストロ文化を守り続けています。エスカルゴのガーリックバター、舌平目のムニエルやチョコレートのプロフィットロールなど、クラシックな料理を堪能できます。
Afternoon
ランチを終えたら、古くから学生たちで賑わうカルチェ・ラタン地区へ。細い路地を散策すると、一昔前のパリの様子を垣間見ることができるでしょう。その後、サント・ジュヌヴィエーヴの丘にあるパンテオンへ。フランスの歴史上、著名な偉人達が眠っています。ティータイムは、ホットチョコレートで有名な「Angelina tearoom」で一休み。リュクサンブール公園に隣接しています。チョコレート愛好家から根強い支持を集める店。並ぶ覚悟で予定を組みましょう。
Dinner and a night out
「Hémicycle」はブルボン宮殿の近くにある人気店。イタリアの香りが漂う、大胆かつ爽やかな料理。デザートはシェフのパートナーであるパティシエが担当。優雅なセッティングで、ゆっくり過ごしたいレストランです。レストランに隣接する「Café des Ministères」は昼夜問わず賑やか。ボリュームたっぷりのメニューを提供します。仔牛のスイートブレッドやロブスターのボローバンは、常連客に愛される一品。冒険したいなら、キャベツ包みも人気です。希少ワインも揃います。
旅の終わりは、サンジェルマン大通りの「Cravan」でカクテルやコニャックを片手に、スタイリッシュな一夜を。18世紀の建物を改築した4階建ての巨大カクテルバー。種類豊富なドリンクメニューに惹かれ、ナイトライフを満喫したい人達が集うスポットです。
近隣のホテル
「Hôtel Monge」19世紀建築の邸宅をリノベーションした優雅なホテル。高い天井、パーケットフローリング、モールディング装飾を設えた40室を完備。アートな作品や壁紙が目を引きます。ハマム(トルコ式風呂)を設え、一日の疲れを癒せます。
「Villa M」
モンパルナス駅の近くに位置し、モダン建築が印象的。著名デザイナーのフィリップ・スタルクによる家具やアート作品で彩られます。緑豊かな中庭、解放された屋上、バーも併設されています。
住所情報 :
Partisan, 36 r Turbigo, 75003 Paris
Pompidou 4 r Aubry le Boucher, 75004 Paris
Marchés des enfants rouges 37 r Bretagne, 75003 Paris
Caves Legrand 1 r Banque, 75002 Paris
Petit palais Av Winston Churchill, 75008 Paris
Ladurée 75 av Champs Elysées, 75008 Paris
Le très particulier Pavillon D 23 avenue Junot, 75018
Café de Flore, 172 bd St Germain, 75006 Paris
Les Deux Magots, 6 pl St Germain des Prés, 75006 Paris
Coutume 47 r de Babylone, 75007 Paris
La Grande épicerie80 r Passy, 75016 Paris
Cravan 165 bd St Germain, 75006 Paris
この記事は、2024年2月に公開された「2 Days in Paris」を基にMichelin Guide Japanで再編集しました。
Hero image : Villa M