家庭で作れる簡単なレシピを提案してくれたのは、東京永田町にあるフレンチレストラン、ヌートウキョウの中塚直人シェフ。
「ヌートウキョウはひとことで言うと食の循環を大切にするレストラン。まず食材を余すところなく食べられるよう知恵を絞ります。その上で、どうしても可食できない部分はコンポストで堆肥にし、付き合いのある農家さんへ送り、土に還します。その土で育てられた野菜を私たちが使うことで自然のサイクルが成り立ちます」と中塚氏は言う。
野菜が余りそうになれば、状態の良いまま乾燥させ、パウダー状にして保存する。それをパンに練り込んだり、料理のアクセントに使ったり、効果的に使うことができる。
レストランの生ごみを極力減らすよう心掛けるシェフ。今回紹介するレシピも、そういったサステナブルな考え方を取り入れた、ヌートウキョウらしさを感じられる料理。家庭ではなかなか思いつかないようなシェフのアイディアで、玉葱の皮まで無駄なく使い切る。
サステナブルなバックストーリーと共に、家族や友人と素敵な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
料理名: 鴨もも肉とオニオンのブレゼ
【材料】・鴨もも肉 (鶏もも肉でも可) ・・・2本
・玉葱(皮付き)・・・2個
・オレンジ・・・1個
(皮は千切りにし、房から果肉を取る。房に残った果汁を絞っておく)
・バルサミコ酢・・・100cc
・白ワイン・・・100cc
・カカオニブ・・・5g
・ローリエ・・・1枚
・オリーブオイル・・・15cc
・塩胡椒・・・少々
【作り方】
①玉葱は皮を剥き、みじん切りに。鍋にオリーブオイルを引き、ゆっくりと飴色になるまで炒めていく。皮はよく洗い185℃のオーブンで15分程焦がしながら火入れ し、その後乾燥させ、ミキサーで粉末に。
②炒めた玉葱のフライパンにバルサミコ酢を加えて20分ほど煮詰め、オレンジの果肉、果汁、皮の千切り、白ワイン、砕いたカカオニブ、玉葱の皮の粉末、ローリエを加える。
③鴨もも肉に塩胡椒を振り、フライパンに油を少し入れ、皮目を香ばしく焼く。その後、玉葱のフライパンに肉を入れ、蓋をして肉がやわらかくなるまで弱火で蒸し焼きする。
④鴨もも肉がやわらかくなったら取り出し、ソースを塩胡椒で整え、肉に添えれば出来上がり。
中塚 直人
ミシュランガイド東京2023に一つ星、ミシュラングリーンスターとして掲載されているヌートウキョウのシェフ。
提携農家に種類の指定はせず、その日に採れた野菜を送ってもらう。届いた箱を開けてインスピレーションを湧かせ、最適な調理法や味付けを考えるという。「大変なのは、営業数時間前から僕の頭の中のレシピを再現するスーシェフやスタッフ。また、ペアリングを考えるソムリエですね。このチームだからこそなせる業で、いつもスタッフには感謝しています」。とにこやかに語る。