東京銀座にあるミシュラン一つ星イタリアンレストラン「ファロ」のシェフパティシエールとして活躍する加藤峰子氏。子供の頃から海外で過ごし、イタリアでペストリーシェフとしてのキャリアを積む。その後日本に拠点を移したのは2019年のこと。日本各地を訪れ、心惹かれた里山文化の継承に貢献したいと考案した「里山のタルト」が代表作。
1. フォークロア ミクソロジーアンドテロワール
「酒や日本のリキュールを勉強するために通っています。香りの組み合わせがどれも個性的。バーテンダーが教えてくれる日本酒の醸造や風土はどれも興味深いです。おすすめは香木を使った『伽羅太陽フレア』というカクテル。香木を使ったお菓子のイベントでペアリングさせた思い出のカクテルです」。通り過ぎてしまいそうな小さな扉を開けると茶室のような空間が広がる。ミクソロジストの南雲主于三氏が手掛ける同店では、酒や器で日本のテノワールを表現する。席数が少ないため予約を。
千代田区内幸町1丁目-7-1 日比谷OKUROJI G27
2. 資生堂ギャラリー
「キッチンで料理に向き合ってばかりだと、考え方がどうしても狭まってしまう。そういった時にふらっと訪れます。ここはこれから花咲くような若いアーティストの作品を取り扱うギャラリー。イノベーションは、違う分野の方々との関わりから生まれます。私にとってここはひらめきの場です」。現存する日本最古の画廊。1919年開業より 、「新しい美の発見と創造」という理念のもと常に新しいアートを提案してきた。ファロの位置する東京銀座資生堂ビルの地下には異世界が広がる。
中央区銀座8丁目8−3 資生堂銀座ビル B1F
3. プレスキルショコラトリー
「一言でいうとチョコレートリトリート。一粒口に入れる度に私の中の幸福度が増す感覚。日々の余白の中に小さな喜びを見つけたい時に。自宅で一日や一週間を締めくくる時に。お気に入りは選べません。どれを食べても幸せを運んでくれるので」。東京吉祥寺にあるショコラトリー。丁寧に時間をかけて作られるチョコレートは、シェフショコラティエである小抜知博氏の感性が光る。目にも華やかなケーキも試したい。
武蔵野市吉祥寺本町2丁目15−18
4. 六義園
「東京から出なくても美しい日本庭園を楽しむことができる場所。四季の移ろいを感じながら、小説片手にゆったりとした時間を過ごします。綺麗に手入れされた庭園も素敵ですが、築山もあり、野性味ある自然を体感できます。庭園にあるお茶屋さんのお茶とお菓子もおすすめですよ」。江戸時代の大名庭園を代表する回遊式築山泉水庭園、六義園。国の特別名勝に指定された文化財でもある。池を囲んで園路があり、四季折々の景色を楽しめる。
文京区本駒込6丁目16−3
5. イル・リストランテ ニコ・ロミート
「ブルガリホテルにあり煌びやかなイメージが強いですが、イタリアの文化や風土を大切にしている料理。私はイタリア生活が長かったのですが、ここの料理を食べると懐かしさを感じます。言うならばパスポートなしで現地に行ける。実は下積み時代、シェフのマウロ は前菜 、私はお菓子の見習いとして同じレストランで働いていました」。ミシュランガイド東京2024で一つ星として掲載されているイタリアンレストラン。アブルッツォ州にある三つ星「Reale」のオーナーシェフ、ニコ・ロミート氏が監修。その料理哲学に精通するマウロ・アロイシオ氏がキッチンで指揮を執る。
中央区八重洲 2丁目−2−1 ブルガリホテル東京 40F
6. 根津美術館
「休日を過ごすのにぴったりな場所です。本を片手に訪れます。一年に一ヶ月しか展示されない燕子花図屏風は息をのむほど美しい。また、日本の職人さんの手仕事が生きる工芸品も好きなので、何時間でも居られます」。日本庭園と一体化した南青山に位置する美術館。尾形光琳の燕子花図屏風を所蔵することでも知られ、設計は隈研吾氏。エントランスへと続くアプローチが印象的、一歩進むごとに都会の喧騒から切り離されてゆく。
港区南青山6丁目5−1