Travel 3 分 2025年8月30日

2 Days in Central Hong Kong ー 食とアートを楽しむ香港・セントラルでの2日間

街角で味わうエッグタルトやワンタン麺から、洗練された日本酒ペアリング、丹念に仕上げられるローストグースまで。セントラルならではの食体験を2日間で巡ります。

香港で食を楽しむなら、まず訪れたいのが セントラル。香港でいち早く開発されたエリアのひとつであるセントラルには、高級レストランと庶民的なローカルフードが肩を並べ、この街ならではの食文化を形づくっています。

香港スタイルの朝食を提供する伝統的な大牌檔(屋台)から、受賞歴のあるソムリエが手がける料理と日本酒のペアリングまで、どの料理にも多彩な食文化の伝統が息づいています。それに加えて、素晴らしい芸術や歴史もまたこの街の一部です。ここでは2日間でその魅力を存分に味わう方法を紹介します。

グルメの中心地ウェリントン・ストリート © MICHELIN
グルメの中心地ウェリントン・ストリート © MICHELIN

1日目:ウェリントン・ストリートを歩く– ひとつの通りにひしめくローカルフードの店

ブティックホテル「One96」は、ワンフロアを占有する広々としたスイートルームが特徴。© One96
ブティックホテル「One96」は、ワンフロアを占有する広々としたスイートルームが特徴。© One96

朝食

グルメの中心地として名高いウェリントン・ストリートは、2日間の食の冒険を始めるのに理想的な出発点です。まずは出発前に、チェックインするのは、 ミシュランガイド掲載のホテル。「マンダリン オリエンタル 香港」は、格式ある空間でのラグジュアリーな体験で知られており、一方ブティックホテル「One96」は、ワンフロアのスイートルームが自慢です。

ホテルでひと息ついたら、地元の朝食から旅を始めましょう。1959年創業の「勝香園(Sing Heung Yuen)」は、香港で非常に人気のある大牌檔(ダイパイドン)という屋台形式の店です。 ここでは、塩気のあるトマトベースの麺を注文するもよし、レモン、バター、ハチミツの風味が広がるクリスピーなバンズで甘い味わいを楽しむもよし。香港スタイルのミルクティーで喉を潤し、人々の行きかう街の風景を眺めながら、地元の空気を感じることができます。

PMQは小さなショップやブティックが集まる複合施設 © Shutterstock
PMQは小さなショップやブティックが集まる複合施設 © Shutterstock

お腹が満たされたら、PMQまで散歩しましょう。PMQはかつて警察官とその家族のための宿舎でしたが、現在は地元のクリエイターや起業家が運営する小さなショップやブティックが集まる複合施設へと生まれ変わりました。ここで少し足を休めるなら、近くのLiz & Toriへ。 この店は、ミシュラン一つ星「Vea」およびセレクテッドレストラン「Wing」のシェフ、Vicky Chengが手がけたジェラートショップで、定番のトリプルチョコレートから、大胆な発想の塩漬け卵黄まで、毎日10種類のフレーバーを楽しめます。

「大班樓(The Chairman)」のシグニチャーメニューである花蟹は、鶏油と15年物の紹興酒で蒸し上げられ、腸粉を添えて提供される。 © The Chairman
「大班樓(The Chairman)」のシグニチャーメニューである花蟹は、鶏油と15年物の紹興酒で蒸し上げられ、腸粉を添えて提供される。 © The Chairman

ランチと午後のひととき

ランチタイムが近づいてきたら、広東料理の人気店として知られるミシュラン一つ星の「大班樓( The Chairman)」へ向かいましょう。その素材選びにおいて高く評価されており、加工肉など自家製も多く揃えます。その他の食材も主にオーガニックで、小規模生産者や地元の漁師から仕入れています。ぜひ代表料理である花蟹を味わってみてください。


「Feuille」の鳩のピティヴィエ。© Feuille
「Feuille」の鳩のピティヴィエ。© Feuille

エコ志向の旅行者は、ミシュラン一つ星およびグリーンスターを獲得した「Feuille」に足を運んでみるのもよいでしょう。現地のオーガニック食材を使い、「ルート・トゥー・シュート(root-to-shoot)」という根から茎や葉まで丸ごと活用しようという理念に基づいたフランス料理を提供しています。ランチには5品のコースが用意されており、料理は定期的に更新されるため、季節ごとの新鮮な味わいを楽しめます。

大館(Tai Kwun)は敷地内にさまざまな文化遺産やアートの展示施設が集まる。© MICHELIN
大館(Tai Kwun)は敷地内にさまざまな文化遺産やアートの展示施設が集まる。© MICHELIN

ランチの後は、香港の歴史を感じられるスポット大館(Tai Kwun)まで散策してみましょう。特に見逃せないのは、かつて警察本部であった歴史に触れることができるビクトリア監獄のB倉(ホール)とD倉の常設展示です。少しお腹が空いたなら、歩いてすぐのミシュランビブグルマン掲載店「沾仔記( Tsim Chai Kee (ウェリントン・ストリート)」へ。名物のワンタン麺を味わえます。

弾力のある食感の鯪魚のすり身団子、豚肉とエビがたっぷり詰まったワンタン、風味豊かで柔らかな牛肉のスライスなど、沾仔記(Tsim Chai Kee)のトッピングはどれも魅力的な独特の味わいです。 © MICHELIN
弾力のある食感の鯪魚のすり身団子、豚肉とエビがたっぷり詰まったワンタン、風味豊かで柔らかな牛肉のスライスなど、沾仔記(Tsim Chai Kee)のトッピングはどれも魅力的な独特の味わいです。 © MICHELIN

ディナーとナイトライフ

Godenyaでは一品ごとに、日本酒とのペアリングを楽しめます。 © MICHELIN
Godenyaでは一品ごとに、日本酒とのペアリングを楽しめます。 © MICHELIN
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ディナーはミシュラン一つ星レストラン「Godenya」へ。「ミシュランガイド香港・マカオ2024」でソムリエアワードを受賞した五嶋慎也*によるテイスティングコースを楽しめます。シンプルながらも独特の趣ある空間で、一品ごとに、日本酒特有の風味が引き立つ最適な温度で供されます。

さらに夜を堪能したいなら、メキシカンテイストのクラフトカクテルを目当てにすぐ近くの「COA」へ。あるいは王道の味を求めて「Bar Leone」へ。

*英語記事へ遷移します。

「Bakehouse」は、甘くてクリスピーなサワードウ・エッグタルトで有名です。 © Shutterstock
「Bakehouse」は、甘くてクリスピーなサワードウ・エッグタルトで有名です。 © Shutterstock

2日目:日本酒、ストリート・アート、20工程を経て作られるローストグース

朝食

2日目のスタートは、香港の人気ベーカリー「Bakehouse」から。サワードウ・エッグタルトがおすすめです。昨日の香港スタイルの朝食が忘れられないなら、創業70年を誇る香港を代表する茶餐庁「蘭芳園(Lan Fong Yuen、チャーチャンテン/香港式カフェレストラン)」へ。この伝統的なカフェは、地元の人々から「シルクストッキング・ミルクティー」の愛称で親しまれている、ストッキングのような布で濾したミルクティーで知られています。お供にはぜひ、コンデンスミルクとバターを塗った、あるいはポークチョップを挟んだカリカリのバンズをどうぞ。

現地のグラフィティ・アーティスト、Alex Croftによる大きな壁画。香港を象徴する「唐樓」と呼ばれる集合住宅を描いたもの。 © Shutterstock
現地のグラフィティ・アーティスト、Alex Croftによる大きな壁画。香港を象徴する「唐樓」と呼ばれる集合住宅を描いたもの。 © Shutterstock

これまでもセントラルは素晴らしいアートギャラリーが集まるエリアでしたが、近年では「HKWalls(香港ウォールズ)」の取り組みによって、街路や建物そのものがキャンバスとなりつつあります。必見のアートギャラリーのひとつは、2024年にオープンしたサザビーズのフラッグシップ拠点「サザビーズ・メゾン(Sotheby's Maison)」です。2つのフロアーにわたるこのギャラリーでは、美術館級の展覧会、サザビーズのオークションに向けたプレビューが行われるほか、広々としたコンセプト・ストアも併設されています。

アートを楽しんだ後は、「公利真料竹蔗水(Kung Lee Herbal Tea Shop)」でひと息。戦前の集合住宅の間取りを今に残す店内で、絞り立てのサトウキビジュースやサトウキビプリンを味わえば、一気に昔の香港の雰囲気に浸ることができます。そこから少し歩いたところに、現地のグラフィティ・アーティストAlex Croftによる大きな壁画も印象的です。

1933年創業の「陸羽茶室(Luk Yu Tea House)」。 © MICHELIN
1933年創業の「陸羽茶室(Luk Yu Tea House)」。 © MICHELIN

ランチと午後のひととき

ランチには、ミシュランセレクテッドレストラン「陸羽茶室(Luk Yu Tea House」で 点心を心ゆくまで堪能しましょう。このレストランは昔ながらの内装と調度品が懐かしさを醸しだしています。点心の内容も伝統的ですが、豚レバー入りの焼売や大ぶりの鶏肉まんといった珍しい一品にも出会えます。

「一樂燒鵝 (Yat Lok)」の前には常に、名物のローストグースと本場の肉の焼き物料理を目当てに並ぶ人たちの姿が見られます。© alan chu / Yat Lok
「一樂燒鵝 (Yat Lok)」の前には常に、名物のローストグースと本場の肉の焼き物料理を目当てに並ぶ人たちの姿が見られます。© alan chu / Yat Lok

ミシュラン一つ星レストラン「ヤット・ロック( Yat Lok (Central))も選択肢のひとつです。シグニチャーディッシュであるローストグースは、皮はパリッと香ばしく、肉はジューシーに仕上げるために、20もの工程を経て作られています。4分の1サイズを注文し、澄んだスープにガチョウの脂を少し垂らしたライファン(米粉麺)と一緒に味わってみてください。

中環街市 Central Market Hong Kong.jpg

食後には、8 Wa In Fong East(和現芳東街8番地)まで散歩してみましょう。この小径を進んでいくと、ドイツのアート集団「Innerfields」とフランス人アーティストKogaoneによる大型の壁画に目を奪われるはずです。前者は3階建ての高さで、宇宙服を着た女性がスマートフォンを見つめる姿が描かれています。 Innerfieldsの作品は、パーソナルスペースや自己発見というテーマを探求したものです。一方で Kogaoneの作品は、コントラストをなすビジュアル要素を織り交ぜることで、不完全な美を独自に表現しています。


中環街市(セントラル・マーケット)(左の画像 © Shutterstock)もまた芸術作品であり、香港に現存する数少ないバウハウス建築のひとつで、左右対称に近いレイアウトが特徴的です。印象的なテラゾー(人造大理石)の階段は必見で、著名な写真家Ho Fanの代表作でも背景として登場しています。

「勝記(Sing Kee)では、クラシックなレシピが確かな調理技術と新鮮な食材によって洗練された味わいに昇華されています。© MICHELIN
「勝記(Sing Kee)では、クラシックなレシピが確かな調理技術と新鮮な食材によって洗練された味わいに昇華されています。© MICHELIN

ディナー

ミシュランに選出された広東料理店「勝記(Sing Kee)」は夕食にぴったりの一軒です。こちらの揚げた豚スペアリブとパイナップルの一品は、まさに出来立てを提供するため、注文を受けてから作られます。また、看板メニューの炒め料理「小炒皇」は、香ばしくスモーキーな風味(wok hei)を放つ、満足感の高い一品です。


現地の豊かな文化を映しだすアートで飾られた「Bo Innovation」では、思いもよらない一皿を通して香港の物語が語られます。© Calvin Lee / Bo Innovation
現地の豊かな文化を映しだすアートで飾られた「Bo Innovation」では、思いもよらない一皿を通して香港の物語が語られます。© Calvin Lee / Bo Innovation

創造性溢れる料理がお好みなら、モダン・チャイニーズの大胆な解釈を楽しめるミシュラン二つ星の「Bo Innovation」へ。セントラルでの食の冒険の締めくくりにふさわしいレストランです。

関連コンテンツ*: Video: 2 Days In: Hong Kong

* 英語ページに遷移します。

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