Badrutt's Palace Hotel

毛皮とシュプールとシャンペンの街サンモリッツは、ヨハネス・バドルットが現れるまで何もないところでした。英国からのスキーツアーの誘致でバドルットも街も成功し、今やヨーロッパの冬の正統派リゾートとして君臨しています。そのサンモリッツで、さくらんぼのブランデー「キルシュ」を片手に贅沢なリゾートライフを送るには「バドラッツ・パレス・ホテル（Badrutt's Palace Hotel）」は最高のホテルです。

グレタ・ガルボ、チャーリー・チャップリン、ロジャー・ムーアなど、ありとあらゆる有名人が、たとえスキーができなくても冬のバカンスをここで過ごしています。60年代にポップミュージックの女王たちが、ここでスキャンダラスなバカンスを送ったことは有名です。

バドルットの孫のアンドレアは、経営手腕もさることながら宣伝にも長けています。その経営ポリシーは「セレブなら一文無しでも歓迎する」というもの。破産状態にあったデザイナーのダイアン・ヴァン・ファーステンバーグを無料で招待するなどして、海運王オナシスをはじめ一流の人々の関心を引いています。

丘の上の城のようなこのホテルには、スキーを楽しんだ美しい人々が集まります。スイス名物のフォンデュは、ここではとっくに時代遅れ。上級の客室は、巨大なベッドに壁紙はシルクと革という映画のセットのようなインテリアです。もちろんスパがあり、レストランもバラエティ豊か。バドラッツ・パレスだから当然です。

贅沢が真髄のこのホテルでは、ペットもご主人様同様に最高のもてなしを受けます。猫には魚のグリル、犬にはビーフのフィレステーキ、ペット向けのダイエット料理もあります。

どの客室にもスタッフを呼び出すパネルが設置されていますが、コンシェルジュからベルボーイ、カードゲームの係など、用事によって呼び出すスタッフが異なるので覚えるのに一苦労です。このホテルは華麗な「テールゲート・パーティ」の発祥の地と言われていて、身なりの良い若い男性がウォッカとパテとキャビアを持ってそり馬車に乗って登場します。湖を見下ろすスイートが最も人気です。

チェックイン時にコンシェルジュにスキー・パスを注文すると、次の朝には届くので便利です。また客室を予約する前にマッサージを予約し、当日、子供たちは洞窟や滝がある巨大な屋内プール「Acapulco」で遊ばせておきましょう。

ホテルは、有名な超高級フレンチレストラン「Le Restaurant」（ジャケット着用）が自慢ですが、1658年築の農家の家屋を改築した「Chesa Veglia」のピザハウスやビストロがお奨めです。夜は「Renaissance Bar」へ。街一番の人気スポットで、落ち着いた照明とネイビーブルーのクッション、そして赤い暖炉の火が冬の夜を演出します。名物バーテンダーが作るおいしいカクテルと、世界一ファッショナブルなゲストたちとの会話を楽しむことができます。

このホテルでは、毛皮はホテルの中でなく外で身に着け、ミンクよりもチンチラがお奨めです。もっと地味な装いが好みであれば、同等料金でより繊細な「Kulm Hotel」をお奨めします。バドラッツ・パレスは、大富豪ドナルド・トランプの元妻イヴァーナや俳優ヒュー・グラントなど、高級ブランドとリッチなオーラをまとった人々がゲレンデやフロアを闊歩するところなのです。