Bachaumont

皆さま、今回改めましてご紹介いたしますのは、パリ2区に佇むこの品格溢れるポスト・オスマン様式の建物、「オテル・バショモン・パリ（Hôtel Bachaumont Paris）」でございます。そう、70年代の不景気に襲われるまで、この街を代表するアールデコの老舗ホテルの一つとして営業を続けていた、あのホテルです。地元のファッション小売業者（兼、ワールドトラベラー）、サミ・マルチアーノの努力によって蘇ったバショモンは、多種多様なカフェやブティック、香水店が溢れる歩行者フレンドリーなオートマレ地区にしっくり溶け込み、実験成功といったところ。

ホテルの地階には、オープンフロントの2部屋式ブラッセリーが広がり、フランスならではの暇つぶしスタイルを存分に楽しめる空間となっています。このインテリアを手がけたのは、ホスピタリティ会社“Experimental Group”出身のドロテ・メリクソン。空高く開けたアトリウム天井の下にエレガントかつスマートな布張りの座席をあしらい、木細工やろうそくといったディテールをさり気なく取り入れたそのデザインは、アール・デコの再来といった風。そして隣には、ちょっと照明を落とした居心地抜群のバー空間が。ここには、そんなムードに似合うこだわりのカクテルやお洒落な若者が集まっています。また、ジャズの生演奏やふかふかのオットマンチェアが醸し出す雰囲気は、外の石畳の環境にもぴったり。まあどこまでも演出上手というわけです。

アンティークや、建物自体のチャーミングなフォルムは、上層階の雰囲気づくりにも貢献しています。4つのスイートルームを含む客室インテリアは、アールデコの要素を強調してそもそものパリっぽさを上手に活用。面取り加工をした鏡や、壁に取り付けられた丸いランプ、大理石のアクセントや大型のヘッドボードといったディテールは、よく考えて設計された客室の、時を超えた贅沢さを引き出しています。バスルームは特に、陶磁器の棚やダブルシンク、猫足のバスタブなどを揃えたレトロさが魅力。どの客室も現代的な基本アメニティは全て整っていて、スイートルームにおいては「Epeda」社のベッドとネスプレッソマシン、近辺の屋根屋根を眺めるプライベートバルコニー付きです。いずれにせよ、ここではこのホテルの名前の由来となっている、ベルサイユ宮殿で育った18世紀の貴族、ルイ＝プティ・ド・バショモンになった気分で優雅な時間を楽しみましょう。

【備考】7月19日〜9月2日まで改装工事を予定しております。期間中、7月30日〜8月5日のみ閉館予定。それ以外は通常営業を行っています。