Dylan

私たちの知るデザインホテルは死んだ ---- 少なくとも、イギリスとアイルランドとの複雑な過去と未来に翻弄され続けているこの場所では。「禅」様式のミニマリズムの館はすでに前世紀の遺物となり、それに代わって登場したラグジュアリーホテルの新しい「血統」は、かつての禁欲的な質素さとは逆に、意地悪く言えば恥知らずなほど開けっぴろげな贅沢さを信条としています。

ダブリンの「ディラン（Dylan）」は、この新しい血統のラグジュアリーホテルです。ビクトリア朝時代の看護師の寄宿舎を改築した72室の小規模ホテルで、アムステルダムのディランと混同されがちですが、関係はありません。客室はゆったりとした造りで、白木や打ちっぱなしのコンクリートの代わりに、レザーやテクスチャード加工の壁紙などの贅沢な素材を用いています。設備も一流で、フレッテのリネン、セブンス・ヘブン（Seventh Heaven）の高級ベッド、エトロ（Etro）のバス用品、バング&オルフセン（Bang & Olufsen）の電話機、ボーズ（Bose）のiPodドッキングステーション、そしてフィリップスの薄型テレビが、ムラノガラスのシャンデリアと特注のアンティーク風調度の間に散りばめられています。

スズを用いたバーカウンターが特徴的な「ディラン・バー（Dylan Bar）」は、銀行家やブローカー、あるいは新興のバイオ産業などで富を築いた億万長者が、アイルランドの好景気を祝ってシャンペンで乾杯していそうな場所です。一方、レストラン「スティル（Still）」は、芳醇で艶やかなホテルの内装とは異なり、白を基調とした輝くようなインテリアが特徴です。シェフの作る現代アイルランド料理も大人気で、予約待ちの行列が絶えません。
アクセス：ダブリン国際空港から車で約30分。
タクシーの場合、約35ユーロです。