25hours Hotel Zurich West

近い将来チューリッヒがチョコレートや高級時計以外で象徴されるようになることは言うまでもありませんが、今のところクリエイティブクラスに向けた少し風変わりなハイコンセプトのホテルが比喩的にも、実質的にも異端児的な存在と言えます。西チューリッヒに位置する25アワーズ は、中心地から公共交通機関で10分ほどの近さですが、金融街や観光スポットのある旧市街までは少し距離があります。近隣の背景はよく知られていて、90年代半ば工業地区であった場所から製造業者が退去し、ギャラリーやデザインショップ、パフォーマンススペースなどがスタッフやオーナーとともにに移ってきました。近頃では、街でも注目のレストランやバー、クラブなどが多く集まり、25アワーズのようなホテルも増えています。

しかしながら未だに25アワーズが特別である理由は、ホテルの大半をドイツに所有する25アワーズグループにとってスイスで初めてとなる開業であり、イスやコートハンガー、カトラリーといった日常的なオブジェクトの奇抜なリメイクで知られる地元の人気デザイナーアルフレッド・ハベリ（Alfredo Häberli）が全部を手がけた初めてのホテルプロジェクトでもあるからです。単なる一つの目新しいオブジェクトともいえますが、25アワーズにとっての累積的な効果は、ハベリの作品のようにコートハンガーが形と機能の両方で改善されうると心から信じているようなゲストを引き寄せることーそしてそれは正しかったと言えるほど成功しています。

また、ハベリは帰化してホームタウンとなった“チューリッヒ”への愛をミニチュアに様式化してインテリアに込めました。デザイナーがお気に入りの街のスポットや有名なランドマークをロウテクなレプリカにして気まぐれに暗示。

また、25アワーズの別の魅力が地元の標準よりも手頃に設定した価格。チューリッヒのホテルは悪名高いですが、無料レンタル自転車などを利用して毎晩の靴磨きをする気がないのであれば、25アワーズの素晴らしい価値を享受できるはず。つまり、価格自体が安いとは言い切れませんが、地元の標準に比べれば安いと言える価値があるのです。