マンダリンオリエンタル 上海

香港で始まったマンダリン・オリエンタルが上海に渡るのに、グループ創設から50年もかかったというのは少し驚き。その間、世界各地に拡張し、“地上最高のホテル”になりえる一軒（ヒント：バンコク）を生み、ホスピタリティ界全体が羨むほど識別があり忠実な客層を抱えるようになったグループだけに、もうちょっと早くこの街に登場してもよかった気がします。まあどちらにしても、「マンダリン・オリエンタル上海（Mandarin Oriental Shanghai）」は、オープンと同時にこの街を代表するホテルとなったことは言うまでもありません。完璧なまでにゴージャスなロビー、隅から隅までシックな客室、そしてドアを開けるところからして抜かりないサービスと、非の打ち所はナシ。館内には4,000点近くの近代アートがいたる所に飾られているけれど、ほんの１ミリだって曲がっているものは、私たちが見たかぎり見つかりませんでした。

もしや、いい土地が見つかるまで彼らも辛抱強く待っていたのかもしれません。ホテルの所在地は、経済中心地として急成長を続ける浦東新区に新たに開発された、高層ビルが点在する緑の一角、ハーバーシティ（海港城）。浦東新区で仕事がある人にとっては、当然ながら便利です。外からの眺めは、川向いに広がる外灘エリアと比べると、大して感動的ではないけれど、こういった場所では、中から外を眺めた方がいいのは当たり前。どの客室でも窓は床から天井まで広がり、上海の未来的なスカイラインが一望できると同時に、温かみある照明が照らすニュートラルカラーのインテリアとガラスの向こうのキラキラとした街の灯りのコントラストが楽しめます。（当然ながら、遮光設備はちゃんとしているので、明るくて寝れないなんてことはありません。）

落ち着きある小さなスペースがいくつも造り込まれたスパは、果てしなく広々とした憩いの空間。マニキュア＆ペディキュア・ステーションがあるかと思えば、そこからゆったりと進んだ先には足マッサージ専門のラウンジがあったり。スパ経験豊富な人にとっても、“テピダリウム・チェア”やクリスタル・スチームルームでのリラックスタイムは忘れられない思い出になるはず。

館内に６つ用意されたレストランおよびバーの内、最もお薦めなのは、本格的に新鮮な料理が楽しめる「フィフティー・エイト・ディグリーズ（Fifty 8˚）」。中国最高のレストランのひとつとされる香港の「ランドマーク・マンダリン・オリエンタル（Landmark Marndarin Oriental）」を仕切るシェフ、リチャード・エッケバス（Richard Ekkebus）が手がけているというだけでも期待必至。プラス、香港で人気の「ケーク・ショップ（Cake Shop）」も上海に上陸。輝くベネチアングラスのショーケースに並んだ手作りトリュフやケーキは、見た目も美しく、食べるのがもったいないほど。甘党には夢のような世界です。