W Seattle

WTO開催中のシアトルで暴動が起こったその日、「ダブリュー・シアトル（W Seattle）」では2人の宿泊客が翌日に結婚式を挙げたいと言い出しました。あまりの急なリクエストにコンシェルジュは大慌て。牧師がなかなか見つからず最後にようやくオンラインで手配できましたが、それは花やレストラン、タキシードを24時間以内に揃えたり、デモの群集を掻き分けて裁判所へ婚姻届けを提出しに行くよりも簡単だったと、コンシェルジュは言います。こんなことがあった後では、W・シアトルがWホテル中で最高のサービスと評価されてもむしろ当然と言えるでしょう。

ホテルは、黒色花崗岩とコンクリートの26階建ての高層ビルですが、他のWホテルに比べて温かみがあります。雨の多いシアトルでは、心も体もあたたかくなるような雰囲気が必須です。Wホテルではロビーを「リビングルーム」と呼んでいますが、その名に違わぬ出来ばえで、暖炉、深い色合いのオーク材の床、色褪せたコーヒーテーブルに本とゲームという、家族の団らんを思わせるインテリアです。また最も人気の会議室は25階のソファラウンジで、これがシアトル流のビジネス旅行です。

このホテルには、リピーターを惹き付けるさまざまな要素があります。強大な力を持つコンシェルジュ、ダウンタウンのパイクプレイス・マーケットに近い立地、そしてスイートのバスルームからのピュージェット海峡の素晴らしい眺め。ニューヨークのレストラン王ドリュー・ニーポレントがプロデュースするレストランでは、新鮮なシーフードと農産物を使った料理を楽しむことができます。しかしこのホテル最大の特長は、ペットに対するサービスです。コメディドラマ『フレイジャー』で大人気の犬のエディーも、これには納得するでしょう。ワンコたちもその飼い主同様に、ふかふかの羽根布団のベッドと痒いところに手が届くサービスが忘れられなくて、いつも戻ってきてしまいます。