Aldebaran Hotel & Spa

20世紀初頭にやって来たオーストリア、ドイツ、スイス移民のおかげで、アルゼンチン南部パタゴニアの特に湖が多い地域では、山小屋風の木造建築が主流になっています。「南米のスイス」とも呼ばれるバリローチェには、切妻造の美しい家屋が並ぶ一画があり、ともすれば遠くからヨーデルの歌声が聞こえてきそう。それとは対照的に「アルデバラン・ホテル・アンド・スパ（Aldebaran Hotel & Spa）」は、より新しいモダンで控えめな印象です。木の梁や暖炉などを取り入れた山小屋の伝統を受け継ぐ設計ながらも、映画『サウンド・オブ・ミュージック』的な趣ではありません。


透明な青い水を湛えるナウエル・ウアピ湖を見下ろす崖上に位置し、客室数は10室。バリローチェからは車で20分です。比較的ひっそりとした環境のうえ、滑らかな石材や地産の木材などの天然素材を用いているため、とてもリラックスできる落ち着いた雰囲気です。白いふかふかのソファと湖に面した大きなピクチャーウィンドウのあるラウンジは、ほっとできる空間。また併設のスパには屋内外の温水プールがあり、寒い夜でも星を眺めながら泳ぐことができます。


客室は肌触りの良い自然色のファブリックと、明るい色合いの織物で飾られています。自然光がたっぷり入る設計なので、デイベッドあるいは豪華なアームチェアで昼寝するのも気持ちよいかも。また湖の見えるテラスあるいはバルコニーを全室に完備しています。バスルームはゆったりした広さで、アースカラーのタイル仕上げです。


館内のレストラン「シリウス」は、石積みの壁が淡い照明にぼんやりと光り独特の雰囲気を醸し出しています。手作りのパンや、たっぷりの牧草で育った牛の肉、そしてアルゼンチンで特徴的なマルベック種のブドウを使った赤ワインなど、地元の食材を生かしたオーガニック料理がゲストの食欲をそそります。こうしてみると、このホテルの魅力は立地と引き換えなのでしょう。都会的な遊びを楽しむには多少不便ですが、その代わりハイキングやラフティング、カヤックなど、手付かずの川や湖や山々の中で無上のひとときを過ごすことができるのです。

アクセス：テニエンテ・ルイス・カンデラリア国際空港（BRC）から車で約25分。