Marignan Champs-Elysées

きらびやかな老舗ホテルや超スタイリッシュで実験的なハイファッション系ホテル、どこか懐かしいプチホテルといった宿ならパリには充分あるけれど、ここ「ホテル・マリニャン（Hotel Marignan）」のような、さり気ないデザイン性を持ちつつも凝りすぎず、清潔感ある近代的フルサービス・ホテルはまだまだ足りないと言って良いでしょう。しかも、パリで最もお洒落な（つまり、世界で最もお洒落だ、と言う人がいてもおかしくない）通りのひとつ、モンターニュ通りから入ってすぐのところにあるのに、驚くほど気取りがなく、その高級感は、奇天烈なデザイン感覚ではなく、ずっと横になっていたくなるような、心地よい寝具を通して表現されています。

客室は基本的にパリらしいこぢんまりとした大きさですが、ホテル・マリニャンの特筆すべき寛大さはそれ以外の形でたっぷりと感じ取れるはず。たとえば、ほかの高級ホテルなら、エクス・ヴォト（Ex Voto）社のバスグッズを揃えているというだけで充分とするところだけれど、ここではそれに加えてシェービング・セットとマニュキュア・キットまで準備。ミニバーに並ぶソフトドリンクは無料。朝食も高速Wi-Fiも無料。客室内には普通のコーヒーポットではなく、エスプレッソマシンが。また、最新式のテレビやステレオといった当たり前のもののほか、マリニャンは独自のスマートフォン・アプリまで開発してしまいました。お薦めのショップやレストランを紹介してくれたり、美術館や観光名所のチケット購入のお手伝いをしてくれる、言わばポケット・コンシェルジュ的な機能を持ったこのアプリ。ダウンロードしておけばアプリ内の地図はインターネットなしでも利用できるから、データ使用量が気になる旅行者には嬉しいかぎりです。

さて、長い散策に繰り出す前にまずコーヒーを。まずは、市場で仕入れた新鮮な食材でトラディッショナルフレンチを提供する「マ・デーム」へ立ち寄ってみましょう。このエリアは何年か前、角を曲がってすぐのモンターニュ通り沿いにクリスチャン・ディオールがショップをオープンして以来、ヨーロッパの大手デザイナーブランドならそのほとんどがこの近辺に出店。グラン・パレも歩いてすぐ。トップクラスのアートギャラリーもたくさんあるし、それでも魅力が足りないというなら、甘い匂いに誘われるがままラデュレ（Ladurée）を訪れてみては。どちらにしても、近くには歩いて回りたいスポットがいっぱいです。