別邸 仙寿庵

つい数年前まで、旅館へ行くということは、ほぼ「昔の建物へのタイムスリップ」を意味しました。旅館らしい伝統的なおもてなしの仕方は、建物と共に代々伝えられて来たようです。ところが「別邸 仙寿庵（べってい せんじゅあん）」は明らかに新しいタイプの高級旅館です。そして現代的なデザインが、時を忘れて佇む旅館の魅力と必ずしもぶつかり合うわけではないことを証明しています。

仙寿庵の長いアーチを描くメイン廊下はとても印象的。片側には客室が、その反対側には長く高い窓が天井まで届き、まるで水族館の水中トンネルの様でもあります。幸いその空間に見えるのは、鮫の泳ぐ姿ではなく美しい木々の緑です。

ほとんどの客室は伝統的な旅館のスタイルを呈し、高さを抑えた家具の置かれた畳の間は、昔からずっとそうであるような完璧な佇まいです。一方洋室は、和室の美的雰囲気を引き継ぎつつも、縦方向への配向を多めに施してあります。和洋両室を備えた客室には、当然、スタイルの違う2つのタイプのお部屋が配されています。

しかしながらこの旅宿を訪れる目的は、客室だけではありません。うまく計算された窓から見える森の景色や、温泉にもあるのです。水上は有名な温泉街ですが、別邸仙寿庵に設備された露天風呂は、新しい温泉の楽しみ方を体験するためのものです。近くにある雪をかぶった谷川岳の頂も一年を通して望めます。さらに、この地域では山岳スポーツも盛んで、ハイキング、ラフティング、スキーなどが楽しめます。

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