あらや滔々庵

旅館はホテル同様、宿泊施設のひとつではありますが、時を超えてひとつの流儀として形成された文化伝統とも言えます。必要とされるのは、大胆なアイデアよりも、細部まで行き届いた心配りとこだわり。石川県の山間にある加賀・山代温泉「あらや滔々庵（とうとうあん）」は、それをしっかり心得た繊細な空間とサービスを備えた一軒です。客室はそれぞれ辺りの景色と自然光を取り入れるべくデザインされたというのもさることながら、窓の外の木々や葉の色が、水たまりのような形のガラスの座卓にどう映るか、はたまたすだれから木漏れ日がどう差し込むかまで考え尽くされているというのは、ホテルデザインの域を超えた文化風習あってこそ。

どの客室にも森林の眺めを絵画のごとく縁取る窓と、趣たっぷりの畳の間があるほか、無駄のない寝室には高さ低めの布団風ベッドが置かれています。また、例えば数寄屋風和室には、20世紀初頭にかけて１年この地で暮らした書道家、魯山人の作品が飾られていたり、日本の現代美術が所々にさりげなくあしらわれているのも注目したい点。この土地特有の漆塗りの柱と朱壁が秀麗な前田藩ゆかりの間「御陣」は、魯山人が実際に住んだ部屋として知られます。そのほかのタイプの客室では、畳の間と寝室に加えて、それぞれテラスと、香り豊かなひのきの温泉風呂がついています。

客室総数は17室、大浴場の数は３つとなかなか贅沢。小さな日本庭園の脇に造られた、ひのきの湯槽とヒバの壁板が香る浴場がひとつ。苔むした風情ある景色を前に、下から湧き出る源泉にそのまま浸かれる浴場がひとつ。そして、仄暗い照明と黒い壁の空間が、霧の立ちこめた洞窟を彷彿とさせる浴場がひとつ。

旬の食材を使って季節によって変わるお料理は、見た目にもとても美しく食べるのがもったいないほど。加賀市は山の中にあるけれど、石川県は海に面する県。ということは、春なら真鯛と春菊、夏ならアワビとナス、秋なら紅葉にぴったりのトラ海老、冬にはずわい蟹と大根といった具合に、山と海の幸を贅沢に使った料理が期待できるわけです・・・と、以上は滔々庵が持つ魅力の、ほんの一例に過ぎません。何百年という時をかけてその文化伝統に磨きをかけてきた旅館だけに、訪れる度に深みを増すような、ゆっくり心に染みる滞在があなたを待っています。

【アクセス】JR「加賀温泉」駅から車で10分。当旅館は無料送迎サービスをご用意しています（要予約）。小松空港からはタクシーで約25分。

ご予約について: Araya Totoan は、可能な限り最高のご滞在をお約束するために、お客様からの追加情報を必要とします。そのため、カスタマーサービスを通じてのみ予約可能です。お気軽にお問い合わせください。

予約の詳細: アラヤ トトアンでは、可能な限り最高の滞在を確保するために、ゲストからの追加情報が必要です。 そのため、予約は当社のカスタマーサービスチームを通じてのみ確認できます。 サポートが必要な場合は、お問い合わせください。 料金は1泊107,800円から。