ホテル アイコン 香港 / Hotel ICON

アイコンと言っても、パソコン用語としてではなく、ここでは“アイドル”または“象徴的存在”としての意味で「ホテル・アイコン（Hotel ICON）」と名付けられたこのホテル。創設には国際的に知られるデザイン界のアイドル達が一同集合して携わったのだそう。関係者の名前をすべて上げていたらここでは書ききれませんが、プロジェクトリーダーを務めたのはテレンス・コンラン氏、館内にあしらわれる草花を手がけたのは知る人ぞ知るフランス人植物学者兼アーティスト、パトリック・ブラン氏。（もちろん、「館内にあしらわれる草花」と言っても、彼の場合、“Virtical Garden（垂直の庭）”と呼ばれる緑の壁を造ってしまうわけですが。）アートやデザインに詳しい方なら、この二人の名前を聞いただけでもワクワクしてきたのでは。

正確に言うと、ここは香港理工大学内の名門ホテル学校School of Hotel and Tourism Managementのトレーニング用ホテルですが、それだけ聞いてパスしてしまうのは、言わずと知れたコペンハーゲンの名店「Noma」へせっかく招待されたのに、キッチン内にいるほとんどが修行中の若手だからと言って、世界一流の味を食べ逃すのと一緒です。ホテル・アイコンを通してこの学校の職員生徒が目指すのは、既存のホスピタリティ業界の常を学ぶことではなく、次の世代へ向けて新たなスタンダードを築くことなのです。

次世代へ向けてぜひ今後定着してほしい要素をひとつあげるなら、都会にありながらも十分な広さを誇る客室。床から天井まである大きな窓で外の景色を取り入れることで、さらに大きな印象を持たせています（これは既存のテクニックですが、飽きることはありません）。ほとんどの部屋から、ダイナミックな港のパノラマを眺めることができ、毎晩行われるこの街自慢の華やかなライトショーも、一等席から満喫できるわけです。バスルームは広々としていて、深めのバスタブと、別個シャワールーム付き。ワークデスクも大きめだし、一番ベーシックな客室を除いてすべての部屋に、ウォークイン・クローゼットが付いています。無料のミニバー＆スナックといった、嬉しいちょっとした心配りも、今後もっとたくさんのホテルで実践されることを期待したくなります。

公共スペースもお手本中のお手本。屋外テラス・プールからの街の景色は更に素晴らしく、ピカピカのスパやフィットネスセンター、スタイルの異なる複数のレストランといった施設が用意されています。カジュアルなガーデンカフェもあれば、28階にあるレストラン「Above and Beyond」では、飲茶と季節に合わせた広東料理が味わえます。・・・ここからも素敵な景色が楽しめるというのは、言うまでもないでしょうか。