Grand Hotel Heiligendamm

南国でなくてもバルト海は立派な海。その沿岸の町ハイリゲンダムは、19世紀のドイツの貴族にとってカンヌやサントロペと同じリゾート地でした。しかしその後、時代とともに高級リゾートから湯治場、あるいはより実用的な都市へと姿を変え、そして今、大々的な再開発プロジェクトによって再びかつての優雅さを取り戻しています。その筆頭に上げられるのが、「グランド・ホテル・ハイリゲンダム（Grand Hotel Heiligendamm）」です。


改修された美しい白亜の宮殿は、まるで上流階級の貴婦人そのもの。内装は、18世紀後半のエレガンスと現代人が求めるモダンさがバランスよく共存しています。スイートはおろか、一般的な客室でさえ広々としていて、窓の外には緑の庭や丘、あるいはバルト海のブルーが広がります。また、床暖房付きの石造りのバスルームや室内のハイテク機器など、洗練された容貌の下に最新設備が隠されています。


生まれ変わったとはいえ、湯治場だった過去はこのホテルの大きな魅力のひとつ。併設の大型スパには、マッサージや美容トリートメントなどの各種プログラムはもちろん、屋内プール、最新マシンの揃ったフィットネスセンターのほか、高温のフィンランド式サウナから、冷たくて気分がすきっとするクナイプ療法（水や薬草を使った独特の自然療法）のプール、そして極寒のアイスルームまで、さまざまな温熱・冷却療法も揃っています。事情通の北国の人々の間で、時代を越えて愛される海辺の町ハイリゲンダム。リヴィエラではなくここが選ばれる理由が、少し分かったような気がします。