Le Manoir aux Quat'Saisons, A Belmond Hotel, Oxfordshire

石畳の小道に沿って緑の草木とデルフィニウムの間を歩いていくと、はちみつ色の15世紀築のマナーハウス（貴族や富豪の館）が、アジサイが香るしっとりした空気の中にたたずんでいます。ロビーは、敷石の床に木の梁の天井で、暖炉とインド更紗のクッションが雰囲気を和らげます。館中にイギリスの香りが溢れていますが、「ベルモンド・ル・マノワール・オウ・クアット・セゾン（Belmond Le Manoir aux Quat'Saisons）」は実は、ミシュラン星を2つ冠されたフランス人シェフ、レイモン・ブランが作り出したものなのです。

遊び心たっぷりのブランのおかげで、普通のイギリスのお屋敷にはない、思わずにやりとするような工夫が散りばめられています。朝でも昼でも夜でも冷えたシャンペンがあり、無節操なほど広いバスルームでは、キャンドルが灯りを点されるのを待っています。天蓋の下にツインのベッドではなくバスタブが横たわっている客室もあります。またイギリスでは初めて、ベッドルームとバスルームを続きにしてベッドとバスタブという2つの癒しをひとつにまとめ、究極のリラクゼーションを演出しています。

このホテルは、イギリスにあってイギリス的でない雰囲気ととともに、フランス人シェフが作るフランス的でない料理も魅力。独学で今の地位を築いたレイモン・ブランは、高級料理につきものの礼儀作法を嫌い、こう説明します。「テーブル周りの儀礼や慣習は本当の喜びを台無しにする」。約2,500坪の広大な庭では、ブラン自身が野菜やハーブを育てています。ホタテ貝とマカロニのトリュフ・クリームなど、まさに神聖な料理と、ブルゴーニュやサンセールのワインが湧き出るこのレストランは、確かに安くはありません。しかし楽しげな会話と朗らかな表情の人々でいつも賑わい、誰もが気取らないリラックスした時間を過ごしています。

食事以外は、特にすることはありません。近隣の村はとても静かで、またホテルにはジムもプールもありません。今すぐ体を動かしたければ、クロケットができます。ホテルでは英国でも評判のクッキングスクールを開催しているので、ブランの味を家庭に持って帰りたい方はぜひどうぞ。館や庭を探検するのもいいでしょう。このホテルでも昔は、古い館にありがちな幽霊騒ぎがありましたが、迷信深いブランがお払いをしてもらったため、今はもう安心して歩き回れます。

【アクセス】ヒースロー空港から車で約50分、ロンドン市内から車で約1時間。電車をご利用の場合は、Haddenham駅もしくはThame駅から徒歩10分、あるいはOxford駅から徒歩25分。