The Crown Amersham

煩わしい日々を逃れてイギリスの湖水地方やスコットランド、スペインに逃げ出したいと思っても、そうしょっちゅうそんなことができるわけでもありません。そんなあなたにロンドンをとりまく環状線、M25のすぐ外側にいい逃避先があるのをお教えしましょう。ロンドン北西郊外のアマーシャムのホテル、「ザ・クラウン（The Crown）」はヒュー・グラントの出世作となった映画「フォー・ウェディング」のロケ地として有名ですが、その便利さ、洗練されたホスピタリティ、心のこもった料理は、映画が映画史の一部となった今でも変わることはありません。


交通機関があまり発達していなかったころのザ・クラウンは旅の途中の一夜を過ごすために立ち寄るホテルでしたが、今ではすっかり生まれ変わって、ザ・クラウン自体を目的に訪れるゲストが増えています。現在のザ・クラウンはかつての馬車旅行者が泊まった旅籠のモダン・バージョンといった感じ。週末に旅行を楽しむ人が集まって、いつの間にか過ぎていくロマンチックな時間を満喫しています。夕食を終えた人々がベッドに入るぎりぎりまで楽しんでいくことも珍しくありません。ザ・クラウンではそんな人たちのためにシェフ、デヴィッド・ホーキンスとレストラン、チョップ・ハウスが、シンプルな郷土料理を現代的にアレンジしたおいしい食事を出してくれます。


もちろん客室はつけたし、というわけではありません。オーナーのテイ＆サリーナ・ディロンはイギリスのデザイナー、イルゼ・クロフォードに客室のデザインを依頼しました。その結果生まれたのが伝統的な旅籠の雰囲気と、おちついていて気取らないコンテンポラリーなシックさを融合させたインテリアです。ただし「フォー・ウェディング」のワンシーンで有名な12号室には特別に、16世紀の装飾が残されています。