Riad Meriem

マラケシュの豪邸を利用したホテル「リアド」は、英語圏の人々（イギリス人やアメリカ人）よりもフランスからの旅行者に人気なのですが、それは、フランスから近いとか格安航空券が手に入りやすいからではなく、言葉が通じるから。つまり、リアドホテルの多くはオーナーや支配人、スタッフなどがフランス人なので、当然ながらゲストもフランス人が多いという単純な構図なのです。

そうした事情があるせいか、「リアド・メリエム（Riad Meriem）」は、ニューヨークを拠点に活躍するインテリアデザイナーの所有であること、そしてロンドン生まれの夫婦が管理していることから、英語を話す観光客の間で人気が高まっています。

もちろん、このホテルのよいところはそれだけではありません。言葉の問題だけなら、面白味はなくとも基本的なビジネスイングリッシュの通じる国際チェーンホテルで解決がつきます。ここリアド・メリエムのオーナーが誰であるか、思い出してください。そのオーナーのおかげで、ビジュアルを中心にホテル全体に好影響が及んでいるのです。

その人、トーマス・ヘイズ（Thomas Hays）は、シンプルなマラケシュの邸宅を華麗なアラビアンナイトの世界へと塗り替えました。全体的にはカトリック的ですが、アジアン家具やモダンアートなど複数の時代や文化の影響を取り入れた個性的な装飾です。これは、いわゆる伝統的なリアドホテルにはない独特の個性でしょう。また、赤やアイボリー、ディープパープル、そしてグリーンなど、モロッコの風景にインスピレーションを得た色で統一されているので、見た目は折衷的でも統一感があります。

ただし、デザインはホテルの魅力の半分にすぎません。残り半分は充実した設備とサービスで、空港送迎などの基本的なサービスのほか、こぢんまりとしたトルコ風のお風呂「ハマム」や専属シェフの手作り料理などがあります。また、ゲストに合わせたサービスも。たとえば、市内のプライベートスパでのトリートメントを手配したり、街で最高のレストランを予約したり、アトラス山で四輪バギーを楽しむツアーをアレンジしたり、ゴルフ好きにはゴルフコースの案内も。頼むだけで望みがかなうなんて、魔法のランプのようではありませんか。