Villa d'Este

ヴィラ・デステ（Villa D'Este）は、世界で最も有名な超高級ホテルのひとつ。風格あるネオクラシック様式のこの建物は、1568年に貴族の屋敷として建築され、イタリアが近代的な国家になった頃にホテルとして開放されました。1873年に初めての顧客がチェックインして以来、本物のロイヤルファミリーからハリウッド・スターまで世界中のセレブが訪れ、ゲストブックに名を連ねています。

アルプスの山々を臨む人里離れた静けさの中に、絵のように美しく横たわるコモ湖。その湖畔に建つヴィラ・デステは、雪深い12月から3月は毎年休業となります。以前は、このホテルへはボートで渡るしかありませんでしたが、現在ではミラノからの道路が整備され、電車の駅（コモ駅）も作られています。

極限まで洗練されたサービスと控えめなのに匂い立つような華麗なインテリアは、何から何まで貴族的な雰囲気です。モダンな装飾は一切なく、この館の最後のオーナー、サリーナ・マリア・フェドロヴナが愛したそのままの姿で、世界のマドンナたちを十分に魅了しています。

客室は、本館と「Queen's Pavilion」にありますが、そのどちらにも目を奪われます。どの部屋も年代物の調度品で飾られ、時間も手間も惜しまない贅沢な造りになっています。特にバルコニー付きの客室の場合、客室からの湖の眺めにこだわりたくなりますが、「眺めが悪い」部屋というのは、このホテルにはありません。

ホテルの設備も一流です。かの有名なコモ湖に浮かぶ屋外プールは、筆舌に尽くしがたい美しさ。一方、現代人の顧客に合わせて増設したスパは「禅」スタイルに北イタリアの香りを合わせたインテリアで、ミラノのトレンディなブティックかカフェのよう。ホテル内のフォーマルなイタリアン・レストランは印象的で、サービスも驚くほど滑らかで隙がありません。また比較的カジュアルな日本料理のレストランもあります。このホテルを訪れる人々は、ここへ来たくてわざわざ出かけて来るような人々。イタリアの観光地の中では知名度は低いかもしれませんが、Villa D'Esteでのひとときには、何をおいてでも手に入れるべき価値があります。