Taj Malabar Resort and Spa Cochin

タージ・グループは、揺ぎない完成度を誇るビジネスホテルチェーンとして知られていますが、その一方で、過去を今に蘇らせるホテルブランドも展開しています。古い建物を丁寧に改修して再利用した館内は、数世紀前の時代に突如として放り込まれたような感覚を覚えます。


コチ（コーチン）のウィリンドン島にある「ヴィヴァンタ・バイ・タージ・マラバール（Taj Malabar Resort and Spa Cochin）」は、まさにそうしたホテル。比較的近代的な新館（タワーウィング）以外、ビクトリア様式の流れを汲む1935年築の建物は、ほぼ昔のままの姿で今に至っています。


新館のあるホテルの常として、客室のテイストは明らかに二分します。このホテルの場合、選択の鍵は、ホンモノにこだわるか、それとも眺めを優先するか。旧館の客室は、改修後とはいえ、昔のインドにタイムスリップしたような空間です。一方の新館は複製品が中心ですが、客室から海に沈む夕日が見えるというのは大きなアドバンテージでしょう。また新館に泊まった場合、自室にいれば建物の外観は見えないので、逆に興ざめ防止になるかもしれません。


なお、タージ・グループは高級ホテルの何たるかをよく承知しているので、新館・旧館を問わずすべての客室に現代的な設備を整えています。館内にはレストランが4つあり、また、心と体の疲れを癒してくれるアユルベーダ（インドの伝統医学・民間療法）センターとスパが併設されています。