ザ ウェアハウス ホテル / The Warehouse Hotel

ホテル研究好きの私たちにとって、今や“倉庫を改造したホテル”と言っただけでは、特に新鮮に感じないこともあるでしょう。でも、シンガポールで“ゴーダウン”と呼ばれる倉庫の建物は、ブルックリンやベルリンで目にする廃れた都会の工業空間とは大きく異なる独特な存在。だからもちろん、シンガポールの「ザ・ウェアハウス・ホテル（The Warehouse Hotel）」は、私たちが見慣れているデザイナーズホテルとは大きく異なる個性を持っているんです。

歴史と伝統あるこれらの建物を丁寧に修復・改造したのは、地元建築事務所Zarch Collaboratives。そして、都会的でモダンかつ、歴史をさりげなく匂わせる内装を手がけたのは同じくシンガポールのデザイン会社、Asylum。今回の建造に際し、彼らが特に豊かな原材料を使用できたという事実も、このホテルの完成度を一層魅力的なものにしたのは間違いありません。

築100年の建物の枠にしっくりと溶け込んだ客室は、どこまでもモダンな雰囲気。ほとんどがロフトスタイルのデザインになっているのは、建物の三角屋根構造を活用した結果です。パッと見の印象は、ほぼミニマリストと言えるほどあっさりしていて、基調色も控え目。けれどよく見ると、元からあった窓や梁といった伝統的な素材や、深みのある質感によって、部屋全体が温かみある空間に仕上がっているのに気づくはず。もちろん、ピロートップのマットレスや無料WiFi、「バング＆オルフセン」社のサウンドシステムに、ニュージーランドの人気ブランド「Ashley & Co」のバスグッズなど、21世紀の高級デザイナーズホテルにおける必需品はすべて揃っています。

と、ゲストルームはどこまでも快適で魅力いっぱいだけれど、ザ・ウェアハウス・ホテルでは公共スペースも大切なポイント。シンガポール内の話題のレストランやバーを多数手がけてきたLo & Behold Groupが共同経営を行なっているとあって、屋上のプールや館内レストラン「ポー（Po）」もすっかり注目のスポットとなっているんです。アジアでこんなモダンな遊び方を楽しむのも良いのでは？