Fasano São Paulo

サンパウロにおいてはファザーノ家の名は素晴らしいダイニングにおいて有名です。100年もの由緒正しいレストラン業はミラノからのイタリア料理を持ち込んだことに始まります。その名も「ファザーノ」というこのレストランはヴィットリオ・ファザーノという曾お爺さんから名をとり、1990年より開業。2003年よりホテル業を開始することになります。

良いレストランを築けさえしたらホテルは本当にラッキーだと言えるでしょう。その点このホテルは幸運だったのです。ジャルジン・パウリスタ地区は上等のショップやブティックが軒を連ねる、ホテルにとっては絶好のロケーションと言えます。

特にこういったタイプのホテルの慎重であまり主張の強くないデザインは、人の目を避けたいゲストにとっては避難場所としてではなく、彼らが目立つような役割を果たしていると言えます。巷にある奇妙だけれど楽しいホテルとは違って、ファザーノは単に英国調の赤い木と大量の皮製のアームチェアーが置いてあるだけであって、実際はわりと地味な威厳のあるところなのです。そしてここは隠れ家ではなく見られるための場所だと言うことも明言できます。特にアームチェアーからは旅行客や、ファッショナブルな現地の人々がレセプションとBarettoというジャズバーの間をパレードするのを眺めることが出来ます。

ニューヨークやロンドンのスタンダードから言ったら大変値打ちのある価格でこのホテルには宿泊することが出来ます。他のブティック同様に目立つしグラマラスであってもファサノは細部に渡ってラグジュアリーホテルだと言えます。サンパウロの最もヒップでありながら最も退廃的なところでもあり、屋上のヘルスクラブや過剰なまでのバスルームなどはそのクラスの高さを証明しています。

思いやりあふれるサービスは想像通り素晴らしく良いものの、全面的にちょっと手前のところで卑屈な感じにとどまっている感がある。それがもと植民地としての恥を引き出した形になっていると言えます。ちなみに従業員達はゲスト同様に皆魅力的です。プールはオリンピック用の巨大なものを期待してはいけません。ファッションに関しては疎いこの町ですが屋上から見下ろす景色は最高です。また、レストランに関して忘れてはいけません。ホテルにとっては兄貴的存在のレストランはこの一家のエネルギーの源を知る鍵にもなります。ま、最もホテルを見ただけで十分それは分かるものでしょうが。
アクセス：グアルーニョス国際空港から車で約30分。