京都グランベルホテル

東京は日本の現代的、もっと言えば未来的な側面を体験できる都市、反対に京都は忠実に伝統にのっとった古都、というのはステレオタイプな見方かもしれません。いつだって現実はもうちょっと複雑なもの。とはいえ、そこに少しの真実が含まれているのも事実なのです。風情漂う祇園の中心地にある「京都グランベルホテル（Kyoto Granbell Hotel）」について言えば、東京の渋谷、赤坂、新宿にある系列ホテルとの共通点がたくさんある一方で、京都の伝統的な宿とのつながりも一目瞭然。

実際、京都グランベルホテルには畳敷きの上にベッドを置いた和室があるのですが、旅館の現代的な解釈と捉えれば場違いには見えません。伝統工芸のトップクリエーターとのコラボレーションで作り上げられた空間は、まさに京の伝統美とモダンデザインの融合形。「ツインルーム」「ダブルルーム」という名の洋室であっても、和室と同じく丹念な職人技やシンプルながら計算されたヴィジュアルスタイルが見られます。

地上から数段降りた半地下に、中庭を望む開放的なパブリックスペースがあり、レセプションからラウンジ、ダイニングエリアへと緩やかにつながっています。厳密にはグランベルは旅館ではないものの、旅館の伝統のなかでも最良の要素のひとつを採用。それは何かというと、大浴場のこと。庭園を眺めながら寛ぎのひと時を過ごせます。京都の基準からすると、グランベルはとことんモダンなデザインホテルです。一方、グランベルブランドの基準で言うなら、京都という土地の伝統を喜んで受け継ぐ場所でもあるのです。