Raya Heritage

内陸の都市チェンマイにある多くのホテルは、プーケットやコーサムイなど、のどかなビーチフロントのリゾート地と差別化すべく、その都会的ロケーションを謳い文句にしています。とはいえタイ北部の文化的中心地であるチェンマイは、都市の喧騒を味わう街とはちょっと違うかもしれません。「ラヤ・ヘリテージ（Raya Heritage）」はそれを示す最たる例。チェンマイの中心部から車で北に向かって20分、ピン川沿いの緑豊かな庭園の中にあり、もっと遥か遠くの田舎にあるリゾートのような穏やかで落ち着いた空気が流れています。

このホテルは、タイ北部のランナー文化の芸術性と職人技を取り込んだ初のリゾートと言えます。タイ出身の建築家Boonlert HemvijitraphanとデザイナーのVichada Sitakalinが何にも制限されず、思うままに想像力を羽ばたかせて設計。また地元の職人による匠の仕事をできる限り生かした結果、世界中のブティックホテルのどこにでも見られるような画一的な“インターナショナル”デザインとは一線を画す、まさに唯一無二の空間が生まれたのです。

メインダイニングの「クーカオ（Khu Khao）」では、タイ北部の地元料理からミャンマー、ラオス、雲南、中華までアジアのさまざまな味を提供。「ラーンチャ・ティーテラス（Laan Cha Tea Terrace）」と「バーンタ・ラウンジ・アンド・ローン（Baan Ta Lounge and Lawn）」は、その名前からどんな場所かだいたい想像できるでしょう。また「アイワーン・スパ（Ai Waan Spa）」に足を運べば、おなじみのタイマッサージにこの地域ならではの治療技術を加えたトリートメントが受けられます。モダンな美学を感じる一方で、「ラヤ・ヘリテージ」の核にあるのは優雅な過去へのノスタルジー。旅が商品というより一大イベントであった古き良き時代のムードを追体験できる、そんなホテルはなかなかないはずです。